日本からインドネシアへの輸出プロセス解説:検品から通関・現地手続まで 日本からインドネシアへの輸出プロセス解説:検品から通関・現地手続まで

日本からインドネシアへの輸出プロセス解説:検品から通関・現地手続まで

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目次

  1. はじめに
  2. 輸出前の準備(日本側での検品・書類作成・HSコード分類)
  3. 日本国内での輸出通関手続きと輸送手配
  4. インドネシアでの輸入通関:書類審査・関税・検疫対応
  5. インドネシア側で必要な許認可・制度(NIB・API・SNIなど)
  6. 港湾・空港での物流フロー:タンジュンプリオク港・スカルノハッタ空港
  7. よくあるトラブルと対策
  8. One Step Beyond株式会社のサポート内容
  9. #9まとめ

1. はじめに

日本からインドネシアへ製品を輸出するビジネスでは、製品特性や数量、輸送方法、関税、検疫規制など、多くの要素を総合的に管理する必要があります。インドネシア市場は東南アジア最大の人口を抱え、若年層を中心とした豊富な消費需要がある一方、通関や検疫手続きの煩雑さ、書類不備による遅延、港湾でのトラブルといったリスクも見過ごせません。本記事では、「日本→インドネシア」の輸出ビジネスに焦点を当て、検品・通関手続きの基本輸出入ビジネスの注意点を中心に解説します。輸入禁止品目には該当せず、比較的輸入が認められやすい一般的な製品(一般消費財、機械部品、化粧品など)を想定しつつ、出荷から最終的なインドネシア側での受け取りまでの大まかな流れを把握し、注意点を押さえておきましょう。最後にはOne Step Beyond株式会社が提供するサポートについてもご紹介します。


2. 輸出前の準備(日本側での検品・書類作成・HSコード分類)

2.1 検品(品質チェック)と数量確認

インドネシア向けの製品を輸出する際、まず日本国内でしっかりと検品(品質チェック)を実施し、仕様や品質、数量などに問題がないことを確認します。ここで問題が見つかると、後ほど現地でのクレームや返品リスク、企業イメージの低下など、コスト以上のダメージを受ける可能性が高まります。特に以下の点に注意しましょう。

  • 製品の外観や機能にキズや不具合がないか
  • 数量やロットごとに誤差や欠陥がないか
  • 輸送中に破損しないよう梱包は適切か

化粧品や食品などの場合は、有効期限や成分ラベルなどが輸入規制に合致しているかも必ずチェックします。ここで不備を発見した場合は、出荷前に国内で再梱包や修正ラベル貼りを行うことでトラブル回避に繋がります。

2.2 インボイスとパッキングリストの作成

続いて、輸出の必須書類であるインボイス(商業送り状)とパッキングリストを作成します。これらはインドネシアの税関で申告や関税計算の基礎となる非常に重要な書類です。

  • インボイス:商品名・数量・単価・金額・取引条件(FOB/CIFなど)、輸出者・輸入者情報などを明記
  • パッキングリスト:梱包の明細(箱番号ごとの内容、重量、体積など)を一覧化

ここで価格や商品名を正確に記載することが極めて重要です。インボイスと実際の貨物に食い違いがあると、インドネシア側の税関で引っかかり、通関遅延や追加調査が発生するリスクが高まります。また、化粧品や健康食品などには国別の成分規定やラベル要件がありますが、インボイス上でも「○○(成分)含有」といった記載を行うかどうかは、事前に輸入者と相談し、誤解を招かないようにしましょう。

2.3 HSコードの分類と関税率の確認

インドネシアの税関では、HSコード(関税分類コード)に基づいて関税率や輸入規制の有無を判定します。日本企業側で誤ったHSコードを申告すると、後に再分類を指示されたり追徴関税が課されたりする可能性があるため注意が必要です。HSコードの決定には以下のステップを踏むとスムーズです。

  • 製品特徴や用途を正確に把握し、事前に日本のHSコード(8〜10桁)を調べる
  • インドネシア側でのHSコード対照表を確認し、適正分類を検討(日本のHSと若干の差がある場合が多い)
  • 確信が持てない場合は、税関へ事前に照会(Advance Ruling)をするか、専門家や通関業者に助言を求める

HSコードが確定したら、それに対応するインドネシアの関税率や付加価値税(VAT)などを確認し、輸入者とコスト負担について合意する必要があります。機械部品なら5〜10%程度の関税率、化粧品なら15〜25%程度など、商品カテゴリーによって大きく異なる点を踏まえましょう。


3. 日本国内での輸出通関手続きと輸送手配

3.1 輸出通関の基本フロー

  1. 貨物の集荷と搬入:製品が検品・梱包を終えたら、フォワーダーや配送業者が輸出港・空港へ運搬
  2. 輸出申告:日本の税関に対してインボイスやパッキングリストなどを電子申請(NACCS)
  3. 審査・検査:書類審査で問題なしなら許可が下り、必要に応じて貨物の現物検査
  4. 輸出許可・船積み(または航空機積込):税関許可証が発行されたら貨物の船積みが可能

輸出申告は通関士やフォワーダーが代行してくれることが多いですが、企業としては書類の正確性を確認し、ミスがないよう気をつける必要があります。また、貨物が危険物や特殊物品に該当する場合には、特別な輸出許可やライセンスが必要な場合もあるため注意しましょう。

3.2 船便か航空便か:輸送方法の選定

海上輸送はコスト面で有利だが、リードタイムが長く(日本〜ジャカルタで2〜3週間程度)、在庫リスクを考慮する必要があります。一方、航空輸送は短納期(2〜4日程度)で高価値品や緊急出荷に向いていますが、コストが海上より高額となります。

  • 海上貨物:コンテナ船でまとめて運べるので重量物や大量出荷に適している。ジャカルタ周辺ではタンジュンプリオク港が主要拠点。
  • 航空貨物:ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港がメインとなり、小口品や緊急サンプルの輸送などで利用。コストは割高。

企業は製品特性や納期要求に応じて最適な輸送モードを選定し、必要に応じて混載(海上LCL/Air consol)なども検討します。

3.3 インコタームズと輸送保険

インコタームズ(FOB/CIF/EXWなど)によってリスク移転点や費用負担範囲が変わるため、輸入者との契約時に合意しておきます。例えばFOB(Free On Board)では日本の港で船に積み込むまでが輸出者負担、そこから先は輸入者が運賃や保険、到着港での通関費用を負担します。一方CIF(Cost, Insurance and Freight)では輸出者が海上保険と運賃を負担し到着港までの責任を負う形になります。
また、輸送中の損害をカバーするために貨物海上保険(Marine Cargo Insurance)や航空貨物保険をつけるのが一般的です。インドネシアで保険をかける場合は現地保険会社を利用しなければならない場合があるので、FOB契約が多いかどうかなど取引形態を踏まえ、保険手配を検討します。


4. インドネシアでの輸入通関:書類審査・関税・検疫対応

4.1 INSW(Indonesia National Single Window)での輸入申告

貨物がインドネシア側の港や空港に到着すると、輸入者(または通関業者)がINSW(Indonesia National Single Window)システムを通じて輸入申告を行います。提出書類としては以下が挙げられます:

  • インボイス、パッキングリスト
  • 船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)
  • 保険証券(CIF条件などの場合)
  • HSコード、貨物の数量・価格情報
  • インドネシア側輸入者のNIBやAPI、納税者番号(NPWP)

書類の整合性や不備がないかを税関が審査し、疑義がある場合は追加書類の提出や貨物検査が指示されます。輸入が制限される品目に該当していないか、PI(輸入許可)やSNI(国家規格認証)を要する品目であれば適切に承認を得ているかを入念にチェックされます。

4.2 関税・付加価値税(VAT)の納付

インドネシアでの関税率は商品カテゴリーにより大きく異なります。HSコード分類に基づき、0%〜30%超の範囲が存在し、一部高級品や特別品目にはさらに特別物品税が課されることもあります。また基本的に付加価値税(VAT)が11%(2022年以降の改定)上乗せされるため、合計の税負担は商品原価の数十%に及ぶ場合も。税関が算出した関税・VATは輸入者が指定口座へ納付し、支払い確認後に通関が許可されます。支払いが遅れると倉庫内での保管費用(デマーレージ)が増大するので注意が必要です。

4.3 検査レーン(グリーン・イエロー・レッド)

インドネシア税関は輸入申告後、リスク評価に応じて貨物をグリーンレーン(書類審査のみ)、イエローレーン(書類審査+必要に応じ現物検査)、レッドレーン(書類審査+必ず現物検査)のいずれかに振り分けます。グリーンレーンに入るとスムーズに許可が下りる一方、レッドレーンだと開梱検査を受けるため時間と費用がかさむ可能性が高いです。日本企業が定期的に輸出し、過去に問題なく輸入実績を積み上げている場合はグリーンレーンに振り分けられやすくなる傾向があります。

4.4 検疫・SNIなどの適合証明

インドネシアでは食品・化粧品・医療機器・農産物・動植物由来製品など様々な品目で検疫・品質検査が要件化されています。該当品目の場合、税関手続きと並行して農業検疫局や保健当局などによるチェックが行われ、証明書やサンプル検査がクリアできないと許可が出ません。また、電気製品や玩具などにはSNI(国家規格)の適合認証が必須となり、試験機関での製品テストやマーク表示を要する場合があります。これらの書類・認証が不足していると輸入承認がおりず、最終的に保税倉庫での長期滞留返送に繋がる可能性もあるため、事前にしっかり確認しましょう。


5. インドネシア側で必要な許認可・制度(NIB・API・SNIなど)

5.1 輸入者基本番号(NIB)とAPI

インドネシアで商業活動を行う企業は、NIB(Nomor Induk Berusaha)という事業基本番号を取得する必要があります。これはOSS(Online Single Submission)を通じて企業登録を行い、同時にAPI(輸入者番号)や関連ライセンスを管理する仕組みとなっています。輸入業務を行うには「API-U(一般輸入)」または「API-P(製造業向け輸入)」が対応する形で登録されることが多いです。日本側が自社でインドネシアに法人を持たない場合、輸入を担当するのは現地ディストリビューターやエージェントとなるため、彼らがNIB/APIを正しく取得しているか確認しましょう。

5.2 輸入制限品目とPI(輸入承認)

特定品目(繊維製品、鉄鋼、食品、化粧品など)は輸入承認(PI)が必要とされる場合があります。これらの品目は国内産業保護や健康安全上の理由で数や品質が規制されているため、輸入者はインドネシア商業省などの担当当局に事前申請し、承認を得た上で通関手続きを進めなければなりません。日本企業が現地の取引先に出荷する際も、取引先が適切にPIを取得済みかを確認しておかないと、到着後の通関でトラブルになるリスクがあります。

5.3 SNI(インドネシア国家規格)の適合

一部の工業製品や消費財はSNI(Standar Nasional Indonesia)という国家規格への適合が義務化されているため、輸入時にSNIマークや試験成績書を提示しなければならないケースがあります。SNIは安全性や品質基準を保証するもので、電化製品、塗料、セメント、玩具、食品用容器など幅広い品目に及びます。SNI取得にはインドネシア政府認定の検査機関で事前試験を行い、一定期間有効なSNI認証(SPPT-SNI)を得る必要があります。日本企業が輸出する製品が対象品目なら、事前にサンプル送付や試験依頼を進めるのが賢明です。SNI未取得で通関が差し止められると、製品の改修や再試験のために大きな時間的・金銭的損失が発生することがあります。


6. 港湾・空港での物流フロー:タンジュンプリオク港・スカルノハッタ空港

6.1 タンジュンプリオク港(海上貨物)

ジャカルタのタンジュンプリオク港はインドネシア最大の貿易港であり、日本からの海上輸送貨物の大部分がここに到着します。到着したコンテナは港湾内の保税区域に搬入され、通関手続きが完了するまで保管されます。税関での書類審査・貨物検査・関税納付などが終わり、「SPPB」と呼ばれる輸入許可証が発行されると、輸入者はコンテナをトレーラーで搬出できます。港湾エリアは交通渋滞が激しいため、引き取りのタイミングに注意が必要です。また、通関許可後も早く搬出しないと保管料やデマーレージがかさむことがあるので、手続き完了後は速やかな引き取りが望まれます。

6.2 スカルノ・ハッタ空港(航空貨物)

航空貨物の場合、ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港がメイン拠点となります。航空機で到着した貨物はまず空港貨物ターミナルの保税倉庫に移され、輸入通関の完了まで保管されます。書類審査・関税納付などが済めば、Cargo Releaseが発行され、輸入者が倉庫から貨物を引き取ります。海上輸送に比べて貨物量が少なく、検査に時間がかからない分、最短数時間で通関が完了するケースもあります。製造業向けの緊急部品やサンプル出荷など短納期の取引では、航空便が便利です。

6.3 国内物流と在庫管理

インドネシア国内で貨物を搬出した後は、トラックや国内輸送を通じて最終目的地へ配送します。ジャカルタ近郊の場合はそのまま市内配送できますが、他の島(スラウェシ、スマトラなど)へ移動する際はさらに海上や空路での国内輸送が必要です。日本企業としては在庫確保やリードタイムを考慮し、事前に倉庫やデポを確保しておく、あるいは販売代理店の保管ネットワークを利用するなど、柔軟な物流体制を構築することが成功のポイントとなります。


7. よくあるトラブルと対策

7.1 書類不備による通関遅延

インボイス・パッキングリストでの商品説明不足、HSコードの誤記、数量が合わないなど書類不備があると、インドネシア税関にて追加確認や修正申告を求められ、通関が大幅に遅れるリスクがあります。書類作成時の複数チェックや通関業者との緊密連携でミスを最小化しましょう。

7.2 輸入承認(PI)やSNI未取得

規制対象製品で輸入承認(PI)が未取得だと、貨物が到着しても通関できずに保税倉庫で滞留する事態が発生。SNI(国家規格)の適合証明が必要な製品では、認証を事前に完了しておかないと同様に滞留や返送を余儀なくされる可能性があります。輸出前にインドネシアのパートナーと要件を確認し、書類を揃えましょう。

7.3 過剰保管料(デマーレージ・倉庫料)

通関がスムーズに進まないと、港湾・空港の保税区域での保管料がかさみます。デマーレージはコンテナを返却せずに長期間使用している場合にも発生するため、許可が下りたら迅速に貨物を引き取ることがコスト増を防ぐ鍵です。

7.4 コミュニケーション不足

日本側とインドネシア側の連絡ミスや書類送付遅れもトラブル要因です。インドネシアでは宗教行事や祝日が多く、行政が休みとなる期間が長いこともあるため、出荷タイミングやフォワーダーの作業計画とのすり合わせを綿密に行いましょう。言語の壁や文化の違いを埋めるために、バイリンガルスタッフや現地コーディネーターを活用するのが有効です。


8. One Step Beyond株式会社のサポート内容

インドネシア向け輸出ビジネスには、書類作成や通関手続き、検疫・許認可対応など、慣れない実務が多々発生します。そこで、One Step Beyond株式会社では以下のような支援サービスを展開し、中小企業が安全かつ効率的に輸出業務を行えるようサポートしています。

  1. 物流ルート設計と通関サポート
    • 日本からインドネシアまでの海上・航空輸送の手配や最適ルートの選定、通関業者との連携を含めた書類作成支援
  2. HSコード分類と関税対策
    • 製品特性を分析し、正確なHSコードを決定。インドネシアの関税率や規制情報を提供し、コスト予測と戦略立案をサポート
  3. インドネシアでの検疫・SNI・許認可取得
    • 必要な輸入承認(PI)やSNI認証などを現地パートナーと協力して代行。トラブル時の行政対応も含めて支援
  4. 現地コーディネートと通訳サポート
    • 税関や政府機関との交渉、書類提出において言語面や文化面のギャップを埋め、円滑に業務を進める
  5. リスク管理と紛争対応
    • もし通関で差し止められたり貨物が破損した際の保険請求などトラブル処理を専門チームがアドバイスし、最小限の損失で済むよう調整

日本企業にとって、インドネシアへの輸出は大きな機会と成長余地がある反面、慣れない行政制度や検疫要件に悩まされる場面が多いです。One Step Beyond株式会社が培ってきた現地ネットワークと経験を活かし、ローカルとの認識ギャップを埋めるコーディネートを受けながら安全確実にビジネスを拡大することをおすすめします。


9. まとめ

日本からインドネシアへ製品を輸出する際には、検品・書類作成・HSコード分類・通関手続き・関税・検疫・ライセンス取得など、多段階のプロセスが絡み合います。さらに、インドネシア独自の制度(NIB、API、SNIなど)や行政の特色から、書類不備やコミュニケーション不足が大きなトラブルに発展しやすい面も否めません。下記のポイントをおさえておきましょう。

  1. 事前準備を徹底:出荷前の検品と書類確認(インボイス、パッキングリスト、HSコード)を念入りに
  2. 海上・航空輸送の選定:コストと納期を比較し、適切な輸送モードを選択。保険も検討
  3. インドネシア側の通関手順:INSWシステムでの申告、関税・VAT納付、検査レーンの考慮
  4. 輸入承認(PI)やSNIへの対応:該当製品は事前にライセンス取得。未対応だと通関不可
  5. トラブル予防:書類ミスや認証不足が保税倉庫での滞留やコスト増に直結。コミュニケーションが鍵
  6. 専門サポートの活用:One Step Beyond株式会社など、現地事情に通じた支援者を活用し、企業リソースを本業に集中

インドネシア市場は若年人口を背景に大きなビジネスポテンシャルがあるものの、輸出入のオペレーションは複雑かつ注意を要します。One Step Beyond株式会社のような現地支援サービスを活用すれば、物流ルートや通関業務、ライセンス取得を円滑に進められ、企業が本業での付加価値創造に専念できるでしょう。堅実な準備と正確な情報に基づいた判断が、インドネシア進出での成功を引き寄せる第一歩となります。

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