スリランカにおける土地取得とリースの仕組み(進出計画・準備編その3) スリランカにおける土地取得とリースの仕組み(進出計画・準備編その3)

スリランカにおける土地取得とリースの仕組み(進出計画・準備編その3)

スリランカにおける土地取得とリースの仕組み(進出計画・準備編その3)

目次

  1. はじめに
  2. スリランカ土地制度の概要:所有権とリースの考え方
  3. 外資系企業に適用される土地取得規制と例外
  4. リース契約(長期・短期)に関する実務ポイント
  5. 公有地の利用:政府管理下の土地とBOI枠組み
  6. 法務・書類面での注意点:登記・契約書・公証手続き
  7. リスク管理とトラブル回避:権利関係・共同名義・地域コミュニティ
  8. One Step Beyond株式会社のサポートについて
  9. まとめ

1. はじめに

スリランカは世界遺産や観光産業だけでなく、内戦後の復興やインフラ開発など新たなビジネスチャンスが多い国として注目を浴びています。しかし、財政危機や政治リスクに加え、外資系企業が土地を取得・利用する際には特有の法制度や規制に留意しなければなりません。特に、外国資本がどのように土地を入手・使用できるかは事業運営の基盤を左右する重要テーマです。

本記事では、スリランカにおける土地取得とリースの仕組みを中心に、外資系企業が計画・準備段階で押さえておきたい情報を解説します。私たちOne Step Beyond株式会社が支援している実務ノウハウをもとに、所有権の制限や長期リースの手続き、公有地の活用など、多岐にわたるポイントを整理。進出計画の完成度を高め、リスクを軽減するためにぜひご活用ください。


2. スリランカ土地制度の概要:所有権とリースの考え方

2.1 土地制度の基本構造

スリランカの土地制度は、過去の植民地支配や独立後の政府による土地改革を経て、私有地(Private Land)と公有地(State Land)が混在する形となっています。公有地は国や州政府が管理し、国益や社会的目的に応じて開発・供給されることが多いです。一方、私有地は個人・法人が所有権を保有し、売買や賃貸が認められていますが、外国人や外資企業の所有には特別な規制が存在する点が特徴です。

2.2 所有権とリースの違い

  • 所有権(Freehold): 権利者が土地を自由に使用・売却・転貸できる最も強い権利形態
  • リース(Lease): 特定期間にわたり土地を借りる権利。長期リース(10年~99年程度)では事実上の所有に近い活用が可能になる場合もある

スリランカでは、外国企業が土地を完全に所有(Freehold)するのは原則として困難なケースが多いため、長期リース契約を利用して工場建設や不動産開発を行うのが一般的です。

2.3 登記制度と複雑さ

スリランカには土地登記制度(Land Registry)が整備されているものの、地域によっては記録が不十分で権利関係が曖昧な例も報告されています。内戦の影響で登記が散逸した地域もあり、購入やリース契約を結ぶ前に徹底的な権利調査と公証手続きを行う必要が高いのが現実です。


3. 外資系企業に適用される土地取得規制と例外

3.1 原則:外国人や外資企業の直接取得は制限

スリランカでは、Land (Restrictions on Alienation) Actにより、外国人や外国法人が土地を直接購入・保有する行為を原則として規制しています。特に、個人の外国籍者が土地をFreeholdで取得するのは事実上困難とされるケースが多いです。ただし、この法律には下記のような例外や緩和規定が存在します。

3.2 例外・緩和策

  1. 合弁事業: ローカルパートナーが多数株(過半数)を保有する合弁会社(Joint Venture)を通じて土地を所有する形
  2. リース契約: 長期リース(99年リースなど)を利用することで実質的な利用権を確保
  3. BOI認定プロジェクト: 一定要件を満たす外国投資プロジェクトには、政府特例で土地取得や超長期リースが認められる場合あり

3.3 課税面の考慮

外資企業が土地を購入する際、印紙税や譲渡税、キャピタルゲイン税などが適用される可能性があります。近年は外国企業による不動産取引には追加的な課税措置が導入される動きもあり、初期コストが大幅に増加するリスクを織り込む必要があります。リース形態であってもリース契約時の印紙税や定期更新時の課税が課せられることがあるため、財務計画で考慮しましょう。


4. リース契約(長期・短期)に関する実務ポイント

4.1 長期リース(10~99年)の一般的メリット

インフラ開発や大規模な工場建設、不動産開発など、長期にわたり土地を安定して利用する必要がある場合、多くの外国企業は長期リースを選択します。10年から最大99年程度までが契約期間の目安となり、実質的に土地所有に近い自由度が確保できる一方で、以下のメリットが考えられます。

  • 初期投資コストの軽減: 土地購入に比べて負担が小さい
  • リスク分散: 財政危機や政権交代による法改正への柔軟対応がしやすい
  • 契約条件の交渉余地: インフラ整備や修繕責任などを大家(地主)と調整可能

4.2 短期リースの利用シーン

市場調査や短期プロジェクトにおいては、数カ月~数年単位の短期リースを選ぶことで、リスクを最小限に留めつつ現地拠点を確保することができます。ただし、短期リースの方が単位期間あたりの賃料が高いことが多く、契約更新の際に賃料を大幅に上げられるリスクもあり得ます。

4.3 リース契約書の留意事項

  1. 契約期間と更新オプション: 明確に年数を定め、更新時の優先権・賃料改定条項を取り決める
  2. 賃料支払い方法: 通貨(米ドル or スリランカルピー)、支払い時期、為替リスク対応など
  3. 使用目的の限定: 工場用地・商業用地など、開発行為や改築の可否を規定
  4. 修繕責任・保険: 建物や設備をどちらの責任で補修するかを明文化
  5. 契約解除・違約金: 途中解約に伴うペナルティや双方の権利を明確化

5. 公有地の利用:政府管理下の土地とBOI枠組み

5.1 Public LandとState Land

スリランカの公有地は、国政府や州政府が管理するState Landとして分類されます。農地や山林、海岸線の大部分がこれに該当し、観光リゾートやインフラプロジェクトに活用されることが多いです。公有地は直接取得(売買)が難しく、通常は長期リースという形態での提供となります。

5.2 BOI認定プロジェクトでの公有地利用

BOI認定を受けた大規模プロジェクト(工業団地、観光開発など)では、政府が特定の公有地を優先的に割り当てることがあり、リース料や契約条件が優遇されるケースもあります。インフラ(道路・電力・上下水道)整備が進んでいる土地を選べるため、投資コストを抑えながらスムーズに事業開始できるメリットがあります。

5.3 地域社会との連携

公有地を利用する際、現地のコミュニティや地方自治体が関与する場合が多々あります。CSR活動や雇用創出、住民の移転補償といった合意形成が不十分だと、社会問題化しプロジェクトが停滞するリスクが高まります。ローカルパートナーやコンサルタントと協力し、事前のコミュニケーションが欠かせません。


6. 法務・書類面での注意点:登記・契約書・公証手続き

6.1 権利調査とデュー・ディリジェンス

内戦による混乱や地方ごとの事情で、土地登記が必ずしも正確・最新とは限りません。取得・リースを行う際は、不動産弁護士や公証人を通じて権利の正当性を確認するデュー・ディリジェンスが必須です。また、共同名義や係争中の土地を誤って契約するトラブルを防ぐため、現地の登記所での書類閲覧や住民へのヒアリングが行われることもあります。

6.2 契約書の言語と優先順位

英語とシンハラ語、タミル語などの複数言語で契約書を作成する場合、どの言語版が優先されるかを明確に規定しておく必要があります。特に裁判や紛争時には原本言語が優先されがちなので、翻訳の精度や公証手続きでミスが生じないよう慎重な対応が必要です。

6.3 公証人認証と登記

土地リースや所有権移転の契約は**公証人(Notary)**の認証を経て法的効力を持つ形が一般的です。スリランカでは法律上公証人制度が整備されており、契約書の正当性を証明する役割を担います。公証後には、地方の登記局(Land Registry)で正式登録をすることで第三者対抗要件が確保されます。


7. リスク管理とトラブル回避:権利関係・共同名義・地域コミュニティ

7.1 権利関係の複雑さ

内戦期に土地が放棄された、所有者が海外に移住した、相続争いが未解決などの理由で真の所有者が曖昧な土地が存在します。契約書を交わしても後から第三者が権利を主張する事例もあるため、公証人を通じて権利鎖(Chain of Title)の全履歴を遡って確認することが推奨されます。

7.2 共同名義・合弁形態

ネガティブリストや外資規制により、ローカルパートナーと共同で土地を利用する形(共同名義、JV会社名義など)が必要な場合があります。その際は株主間協定や契約書で、土地の処分権や譲渡制限、資産評価の方法を詳細に定め、後々の紛争を防ぎましょう。

7.3 地域住民への配慮

特に地方部での農地転換やリゾート開発では、地元住民の生活圏や環境影響に対する理解が不可欠です。CSR活動や補償制度、雇用創出施策などを充実させることで、デモや抗議運動によるプロジェクト中断リスクを下げることが可能です。


8. One Step Beyond株式会社のサポートについて

スリランカにおける土地取得やリース契約には、外資規制・権利関係の複雑さ・政治リスクなど多様な要素が絡み合い、日本企業が単独でスムーズに進めるのは容易ではありません。One Step Beyond株式会社では、アジア各国への進出支援における豊富な実績を活かし、以下のサービスを提供いたします。

  1. 土地リサーチと権利調査:公有地・私有地の情報収集、所有者の信用確認、デュー・ディリジェンス手配
  2. 契約書作成・公証手続きサポート:英語・シンハラ語・タミル語の翻訳と公証人との調整
  3. 合弁形態・共同名義のコンサルティング:ローカルパートナー探し、株主間協定づくり、外資規制対応
  4. BOI(投資委員会)認定プロジェクト支援:投資許可取得、インセンティブ適用、政府交渉など
  5. コミュニティ連携とCSRプラン:地方住民とのトラブルを防ぐための戦略立案

こうした包括的アプローチにより、企業がリスクを最小化しながらスリランカ市場での事業拠点確保を実現できるよう伴走いたします。


9. まとめ

スリランカで事業を展開するうえで、土地取得やリース契約は安定した拠点づくりの基盤となります。しかし、内戦の影響や外資規制が混在する中で、外国資本による土地の直接購入は原則厳しく制限され、長期リースやローカルパートナーとの共同名義などの方法を検討する必要があります。また、権利調査の不備や地域コミュニティとの摩擦が大きなリスク要因となるため、事前の調査と慎重な契約手続き、そしてCSRを含む現地社会との良好な関係構築が欠かせません。

  1. 所有権vsリース権:外国企業が自由に土地を所有するのは難しく、長期リースが主流
  2. 公有地とBOI:大規模プロジェクトでは政府保有地のリースが有望、BOI認定で優遇措置も
  3. デュー・ディリジェンスの重要性:登記や過去の権利関係、第三者の権利主張を慎重に調査
  4. ローカルパートナーとの共同名義・合弁:出資比率や株主間協定で細部を詰め、紛争を回避
  5. 地域コミュニティへの配慮:住民説明、補償、CSR活動を計画的に行い、デモやトラブルを防ぐ

One Step Beyond株式会社は、スリランカでの土地確保やBOI枠組みを含む投資関連手続きに関するノウハウを蓄積しており、企業が着実に進出計画を進められるようアドバイスと実務支援を提供しています。政情不安の続く中でも、市場のポテンシャルを活かすために必要な情報と連携先を用意し、貴社がスリランカ進出で成功を収められるよう包括的にサポートいたします。

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