スリランカのインフラ状況と物流環境(進出前の基礎知識その5) スリランカのインフラ状況と物流環境(進出前の基礎知識その5)

スリランカのインフラ状況と物流環境(進出前の基礎知識その5)

スリランカのインフラ状況と物流環境(進出前の基礎知識その5)

目次

  1. はじめに:スリランカ進出を考えるうえでのインフラ・物流の重要性
  2. スリランカのインフラ概況:道路・鉄道・港湾など
  3. 電力・通信インフラと地方都市の格差
  4. 物流環境の特徴:輸出入フローと国内輸送ネットワーク
  5. インフラ投資の動向:公共事業・外国資本との関係
  6. インフラ・物流面で考えるリスクと留意点
  7. One Step Beyond株式会社のサポートについて
  8. まとめ:スリランカでの事業成功を支えるインフラ・物流戦略

1. はじめに:スリランカ進出を考えるうえでのインフラ・物流の重要性

スリランカはインド洋の要衝に位置し、地理的特性や文化的魅力などから海外投資や観光客の誘致を重点的に進めています。内戦終結後の復興需要や観光業の拡大に伴い、国際的にも注目される投資先として台頭してきましたが、2022年の財政危機や政治的不安定などにより、インフラ整備や物流網の課題が改めて浮き彫りになっています。

企業がスリランカに進出・投資を行う際、製造拠点や販売拠点をどこに置き、どのようなルートで原材料や完成品を輸送するかといった戦略は、事業コストや納期、品質管理などを大きく左右します。また、公共事業や外国資本による大規模プロジェクトの動向が都市整備や港湾機能の改善に直結し、企業の物流計画やサプライチェーン構築に影響を及ぼすでしょう。本記事では、スリランカの道路・鉄道・港湾インフラから電力・通信まで、インフラ面での現状と課題を総合的に解説し、企業が留意すべきポイントを明らかにします。


2. スリランカのインフラ概況:道路・鉄道・港湾など

2.1 道路インフラの整備状況と課題

スリランカの道路インフラは、内戦終結後に政府の積極的な投資と国際支援を受けて整備が進められてきました。コロンボと各主要都市を結ぶ高速道路網の拡充や、地方部へのアクセス強化が図られ、移動時間の短縮と物流コストの削減につながっています。しかしながら、依然として地方部や山岳地域では老朽化した道路や未舗装区間が多く、豪雨や地滑りなどの自然災害が交通寸断を引き起こす場合も珍しくありません。

特に農村部から農産物・水産物を都市部へ運ぶ際に道路の品質が悪いと、輸送時間の延長や商品品質の劣化が生じ、中長期的に見ても物流効率が低下します。進出企業は工場・倉庫を設置する場所選定で高速道路や主要幹線へのアクセスを重視し、地方での生産・調達を検討する場合は現地の道路状況を事前に調査しておくことが重要です。

2.2 鉄道網の現状:観光資源と貨物輸送のポテンシャル

スリランカの鉄道は、植民地時代に開発された歴史ある路線を起点として、国土各地を結ぶ路線が存在します。有名なのは「世界一美しい鉄道の旅」として観光客に人気の山岳地帯を走る路線ですが、実際の貨物輸送やビジネス活用の面では老朽化やダイヤの不安定さなど課題が山積しています。一部区間での改修や新車両導入が進められているものの、総じて道路輸送のほうが柔軟性が高く、企業の利用比率も高いのが現状です。

とはいえ、観光振興政策と連動して「観光+貨物輸送」の複合的開発に注力する計画が出されるなど、中長期的には鉄道の復権が期待される場面もあります。鉄道拠点周辺での開発プロジェクトや物流ターミナルの整備が進めば、道路混雑緩和や環境負荷軽減にもつながり、企業としても輸送コスト削減の選択肢が広がるかもしれません。

2.3 港湾インフラ:コロンボ港・ハンバントタ港の役割

スリランカはインド洋航路の要衝に位置しており、港湾インフラの整備が国際物流の最重要課題のひとつとして挙げられます。首都コロンボ近郊のコロンボ港は、南アジア最大級のコンテナハブとして機能し、多数のコンテナターミナルが国際的な船会社の寄港地となっています。近年は中国やインドなどの資本を受けた拡張工事が進み、取り扱い貨物量や設備の近代化が進行中です。

一方、南部のハンバントタ港は、中国の「一帯一路(BRI)」構想の一環として大規模開発が行われたものの、巨額の対外債務を抱えた末に運営権を中国企業に譲渡する事態となりました。現在は自動車輸出入や石油取扱いなど特化した利用を目指しており、企業にとってはコロンボ港と使い分ける形が生じる可能性もあります。ただし、インフラ開発が完全には安定しておらず、政治情勢によって計画が変動するリスクがある点にも注意が必要です。


3. 電力・通信インフラと地方都市の格差

3.1 電力供給の安定性と再生可能エネルギー導入の動き

スリランカの電力インフラは、水力発電が歴史的に主力であったことに加え、石油火力や石炭火力などを組み合わせる形で供給しています。しかし、全国的な安定供給には課題が残っており、財政問題や設備の老朽化が原因で計画停電が実施される地域もあります。近年は再生可能エネルギー(太陽光、風力)の導入を進めようとする政府の意欲が見られますが、プロジェクトの進捗や資金調達の面で遅れが指摘されるケースも少なくありません。

企業が工場や大規模施設を設置する場合、電力供給の安定性はコストや生産効率に直結するため、立地選定の際には現地電力会社のサービス範囲や発電設備の状況を確認し、必要に応じて自家発電装置を備えるなどの対策も検討する必要があります。

3.2 通信・インターネット環境:都市部と農村部の実情

スリランカは、人口密度の高い都市部を中心に4G通信や光ファイバー回線の整備が進められており、コロンボ近郊では比較的高速なインターネット環境が整いつつあります。若年層のSNS利用やスマートフォン普及率が上昇傾向にある一方、農村部や山岳地域では通信インフラが遅れており、ブロードバンドが使えない地域や停電による通信障害が生じやすい点が課題です。

ビジネス上では、EコマースやIT/BPO分野で事業を行う際に、拠点を都市部に集中させる理由として通信環境が挙げられます。企業がコールセンターや開発センターを地方で運営する場合は、通信インフラの安定供給を確保するための追加コストやバックアップ回線が必要となる場合が多いでしょう。


4. 物流環境の特徴:輸出入フローと国内輸送ネットワーク

4.1 輸出入プロセス:通関手続き・関税・検疫など

スリランカへ商品の輸出入を行う場合、コロンボ港をはじめとする主要港での通関手続きが中心となります。輸入時には関税や付加価値税(VAT)、物品税(特定高級品に対する税金)が発生し、食品や医薬品などは検疫・品質証明を取得する必要があります。手続きの電子化が部分的に導入されているものの、依然として書類作成や認可取得に時間を要するケースもあるため、初めて進出する企業はローカルの通関業者や国際物流会社との協力が欠かせません。

また、インドとの自由貿易協定(ISFTA)を活用する企業が増えているものの、原産地証明や書類不備などでトラブルが生じることもあり、国際物流全般で専門家のサポートを得ることでスムーズな輸送が期待できます。

4.2 陸上輸送の実情:トラック・鉄道・内陸水運の可能性

スリランカでは道路輸送が依然として物流の主流を占めていますが、道路の渋滞や地方部のインフラ不備がボトルネックとなりやすいのが現状です。主要高速道路の開通により、首都コロンボと他都市間の移動時間は短縮されつつあるものの、地方へ伸びる幹線道路の品質には地域差が大きく、トラック輸送における事故・故障リスクも軽視できません。

鉄道貨物や内陸水運(河川・湖沼)の利用はまだ限られており、観光向け列車が主流で、商業貨物向けの設備投資が遅れているのが実情です。ただし、将来的に環境負荷の軽減や渋滞対策として鉄道貨物の活用が検討される可能性もあるため、企業は中長期の視点でインフラ開発計画を把握しておくと良いでしょう。

4.3 国内倉庫・保管の事情:冷蔵・常温・保税倉庫など

生鮮食品や医薬品など温度管理が必要な商品を扱う場合、地方部を含めた冷蔵倉庫ネットワークの整備状況を調査することが必須です。スリランカの都市部では大手物流企業が冷蔵・常温倉庫を運営している例もありますが、地方には適切な保管施設が少なく、サプライチェーン全体で品質維持が困難になるケースがあります。また、輸出向けの保税倉庫や自由貿易区の活用も進められていますが、書類手続きが複雑な場合があるため、具体的な活用メリットとコストを比較検討する必要があるでしょう。


5. インフラ投資の動向:公共事業・外国資本との関係

5.1 中国「一帯一路」とインドの影響力

スリランカのインフラ整備には、中国やインドをはじめとする大国の資金と影響力が色濃く反映されています。中国が主導する「一帯一路(BRI)」構想の一環としては、ハンバントタ港やコロンボ港シティプロジェクトなど大規模投資が行われましたが、財政不安から港湾の運営権を中国企業へ譲渡せざるを得なくなった例もあります。インドも地理的・政治的に近い存在として、港湾や鉄道プロジェクトなどで支援を行い、スリランカとの結びつきを強めようとしています。

このように外国資本の影響力が大きいインフラ開発は、政権交代や国際関係の変化によって計画が急変する可能性があるため、企業が長期的な物流戦略を立てる際には慎重なリスク評価が求められます。

5.2 政府のインフラ政策と世界銀行・ADBの支援

世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などの国際金融機関からの融資や技術支援も、スリランカのインフラ開発を支える主要な要素となっています。道路・橋梁・灌漑プロジェクトから電力・通信インフラ整備まで、幅広い分野で融資案件が存在し、企業にも関連受注のチャンスが巡ってくる可能性があります。政府は観光・農業・製造業などのポテンシャルを引き出すためにインフラ整備を最優先課題として掲げていますが、同時に財政再建も迫られており、公共事業の進捗は案件ごとに差があるのが現状です。


6. インフラ・物流面で考えるリスクと留意点

6.1 政治・財政リスクがプロジェクトに与える影響

2022年のデフォルトが象徴するように、スリランカは対外債務問題を抱えており、政権交代や社会的不安からインフラ関連プロジェクトが中断・遅延するリスクが高い国でもあります。企業が大規模設備投資や長期契約を行う際には、政治の安定度や政府保証の実効性を十分に検討し、パートナー選定を慎重に進める必要があります。特に港湾や道路整備などは政権の意向によって優先度が変動しやすく、プロジェクトが計画倒れになる可能性も否定できません。

6.2 地域間の交通格差とサプライチェーンの組み方

首都コロンボ周辺や観光地に比べて、山岳部や東部・北部の交通インフラは依然として不十分です。ローカル市場の開拓や農産物調達などで地方に進出する場合、輸送コストの上昇や納期遅延が発生しやすいだけでなく、通年輸送が難しくなる可能性もあります。進出企業はサプライチェーンを設計するうえで、物流拠点を都市部に置き、必要なタイミングで地方へアクセスするハブ・スポークモデルを採用するなど、地域間格差を踏まえた最適化が求められます。


7. One Step Beyond株式会社のサポートについて

スリランカのインフラや物流環境は、内戦後の復興と国際的投資を通じて急速に進化しつつある一方、政治的・財政的リスクや地域格差が絡み合う複雑な状況にあります。企業が適切な投資決定やサプライチェーン構築を行うためには、現地事情に精通した専門家のアドバイスが欠かせません。

One Step Beyond株式会社は、アジア各国への進出支援に豊富な経験を持ち、スリランカにおいても下記のような包括的サポートを提供しています。

  • インフラ・物流環境の調査:道路・港湾・倉庫など現地視察や公的機関情報をもとに最新レポートを提供
  • サプライチェーン設計:輸送ルート最適化、港湾利用の検討、ローカル物流企業とのマッチング支援
  • 投資案件のリスクアセスメント:政治リスクや財政リスクを考慮した事業計画の策定
  • ローカルパートナー探し:物流業者、通関業者、工場オペレーターなど信頼できるパートナーを紹介

こうした多角的なサポートを通じて、企業がインフラ・物流面でのリスクを最小限に抑えつつ、スリランカ市場で効果的な事業展開を行えるよう尽力いたします。


8. まとめ:スリランカでの事業成功を支えるインフラ・物流戦略

スリランカは、インド洋航路の要衝に位置する地理的特性や、観光資源や農産物を活かした多様な産業構造を背景に、海外投資家にとって興味深い市場となっています。内戦後の復興需要や観光業の成長がインフラ整備を後押しし、道路・港湾を中心に開発が進む一方、中国やインドなど大国の影響力が強まる中で、財政危機や政治リスクが顕在化することもあるのが現実です。

企業がスリランカで安定的に事業を行うためには、現地のインフラ・物流環境を正しく理解し、以下のポイントを押さえることが求められます。

  1. 道路・鉄道・港湾などインフラ現状の把握:コロンボ港やハンバントタ港、主要高速道路の利用可能性やリスクを検討
  2. 電力・通信インフラの整備状況:工場稼働やITサービスに不可欠な電力・ネットワークの安定性を評価
  3. 物流モデルの設計:地方部への輸送ルートや倉庫運営方法を考慮し、コストと納期を最適化
  4. 外国資本や政府プロジェクトへの理解:BRIなど大国の投資動向や国内政治の変化がインフラ開発に与える影響を見極める
  5. 地域格差とサプライチェーンの組み方:都市部と農村部の違いを踏まえた現地ネットワーク構築が鍵
  6. リスク管理と専門家の活用:法改正やプロジェクト遅延に柔軟に対応できる組織体制を整備

One Step Beyond株式会社では、こうしたインフラ・物流面の情報収集やリスク評価、パートナー選定などを総合的に支援し、企業の皆さまがスリランカ市場で持続的な成長を実現できるようサポートいたします。ぜひ現地事情を踏まえた戦略を策定し、インド洋の新興市場であるスリランカにおけるビジネスチャンスを掴んでいただきたいと思います。

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