スリランカ進出ガイド:外資系企業向けの投資認可申請(進出計画・準備編その2) スリランカ進出ガイド:外資系企業向けの投資認可申請(進出計画・準備編その2)

スリランカ進出ガイド:外資系企業向けの投資認可申請(進出計画・準備編その2)

スリランカ進出ガイド:外資系企業向けの投資認可申請(進出計画・準備編その2)

目次

  1. はじめに
  2. スリランカ投資環境の概要と投資認可の必要性
  3. 投資認可に関わる主要機関:BOI(投資委員会)と政府省庁
  4. 投資認可を取得するまでの全体フロー:事前準備から許可発行まで
  5. BOI認定枠の具体的要件:投資額・雇用創出・輸出比率など
  6. 申請に必要な書類とポイント:投資計画書・財務計画・登記関連
  7. 投資認可後に検討すべき手続き:会社設立・ライセンス取得・労務管理
  8. One Step Beyond株式会社のサポートについて
  9. まとめ

1. はじめに

スリランカは、内戦終結後の復興や観光業の回復を追い風に、海外企業の投資先として注目を集めてきました。紅茶やゴムといった伝統産業だけでなく、ITサービスや観光リゾート開発など、さまざまな分野でビジネスチャンスが期待されています。一方、近年は財政危機や政治リスクが表面化し、IMF支援のもとで再建を進めるという局面にあるため、進出を検討する企業は入念な事前調査とリスク管理が欠かせません。

こうした状況下でも、スリランカ政府は海外投資誘致を強力に推進しており、外資企業がスムーズに事業を開始できるよう、BOI(Board of Investment of Sri Lanka)を中心とした投資認可制度を運用しています。本記事は「進出計画・準備編」の第2弾として、外資系企業が投資認可を取得するプロセスを解説し、BOI認定枠組みのメリットと申請フローを整理します。最後にはOne Step Beyond株式会社のサポート内容にも触れ、スリランカの魅力とリスクを両立しつつ投資を成功させるポイントを共有します。


2. スリランカ投資環境の概要と投資認可の必要性

2.1 スリランカ投資環境の特徴

  • 人口約2,200万人の市場規模:英語力のある若年労働力を活かしたIT/BPO分野や製造業が注目
  • 地理的利点:インド洋の要衝に位置し、中東・アジア・アフリカへの物流拠点としての潜在性
  • 観光・農業・インフラ分野での復興需要:内戦後のインフラ整備や観光リゾート開発が進行中
  • 政治リスクと財政危機:2022年のデフォルトを機にIMF支援を受けながら構造改革が進む

2.2 投資認可の意義

スリランカで本格的に事業を展開(製造・販売・サービス提供など)する場合、投資認可を取得することで以下の利点が得られます。

  • 税制優遇:法人税減免、輸入関税の軽減などのインセンティブが適用される
  • 行政手続きの簡素化:BOI枠組みを活用して各種ライセンス取得を円滑に進められる
  • 投資保護:海外投資に対する保護措置が整備され、紛争時の対応がしやすい

この投資認可は主にBOIが担当し、投資額や事業分野に応じて優遇措置が検討される流れとなります。


3. 投資認可に関わる主要機関:BOI(投資委員会)と政府省庁

3.1 BOI(Board of Investment of Sri Lanka)の役割

  • 投資家への窓口:外資企業がスリランカへ進出する際、投資計画書を審査し、BOI Agreementを締結する
  • インセンティブ付与:一定要件を満たした投資案件に対して法人税減免・関税免除などを付与
  • 監督・フォローアップ:投資が計画通り進捗しているかをモニタリングし、定期報告を求める

3.2 関連省庁(Central Bank, Inland Revenue, etc.)

  • 中央銀行(Central Bank):外貨送金や資金調達に関する規制を担当
  • Inland Revenue Department:法人税・VATなど税務申告の監督
  • その他省庁(産業、商業、労働など):業種ごとのライセンス発行や労務規定を管轄

BOIから投資認可を得ても、省庁ごとに細かい承認や許認可が必要なケースがあるため、総合的な手続きを把握しておくことが大事です。


4. 投資認可を取得するまでの全体フロー:事前準備から許可発行まで

4.1 事前準備・投資計画立案

  1. 市場・競合調査:ターゲットセクターの需要規模や主要競合を分析
  2. 外資規制や税制の確認:ネガティブリスト(存在する場合)や優遇措置を調べ、進出形態を検討
  3. 投資スキームの確定:合弁事業か単独進出か、BOI認定枠を活用するかどうかを判断

4.2 BOIへの申請手続き

  1. 投資計画書(Project Proposal)作成
    • 投資額、事業内容、雇用予定数、技術移転、輸出目標など
  2. BOI面談・協議
    • 担当官と初期的な協議を行い、計画の可否や優遇措置の適用可能性を確認
  3. BOI Agreementの締結
    • 条件が合意されれば、投資認可(In-Principle Approval)が下り、企業は要件を履行する形で事業展開へ

4.3 会社設立・ライセンス取得

  1. Registrar of Companies(ROC)登記
    • Company Name Reservation、定款作成、株主・取締役登録など
  2. 税務登録(TIN取得)・銀行口座開設
    • Inland Revenue Departmentに納税者番号を取得し、資本金を払込む銀行口座を開設
  3. 追加ライセンス・省庁認可
    • 業種ごとに必要な許可(環境、輸入、食品安全など)を取得

5. BOI認定枠の具体的要件:投資額・雇用創出・輸出比率など

5.1 投資額要件

BOI枠組みを活用し優遇措置を受けるには、一定額以上の投資が必要となる場合が多く、数十万ドルから数百万ドルまで、業種によって基準が異なります。特に製造業や大型インフラであれば投資額が大きいほど法人税減免の恩恵期間が長くなるケースもあります。

5.2 雇用創出・技術移転の要件

スリランカ政府は雇用促進と人材育成を重視しており、投資企業が一定数以上の現地スタッフを雇用する条件や、技術移転プログラムを導入する条項をBOI Agreementに盛り込むことを求めることがあります。要件を満たすと、追加的な税制優遇や電力料金補助などを受けられる場合もあるため、事前に協議しておくと良いでしょう.

5.3 輸出指向とローカル販売

BOIの優遇措置は、多くの場合輸出指向型企業に手厚い形となっています。例えば、製造した製品の一定割合を輸出することを条件に大幅な税制免除が認められるパターンです。ローカル販売をメインとする場合は優遇幅が減る可能性があるため、自社のビジネスモデルと合致するか確認が必要です。


6. 申請に必要な書類とポイント:投資計画書・財務計画・登記関連

6.1 投資計画書(Project Proposal)の作成

BOIに提出する投資計画書は企業が行う事業の概要、投資額の内訳、収益予測、雇用創出、技術移転などを網羅的に記載する重要書類です。以下の要素を詳細にまとめる必要があります。

  • 事業目的・マーケット分析
  • 投資コスト内訳(資本金、設備投資、運転資金)
  • 運営スケジュールとマイルストーン
  • リスク評価と対策
  • 事業収支計画・ROI見込み

6.2 財務計画書と会社概要

企業グループ全体の財務状況や日本本社の経営実績、子会社での事業履歴などを示す書類も要求される場合があります。BOIは投資元の資金力と信用度を確認し、確実に計画が実行されるかを審査するからです。さらに、親会社の登記簿謄本や決算報告書、銀行の信用状などが必要となることもあります。

6.3 登記関連書類(会社設立段階)

投資認可申請と並行して、Registrar of Companies(ROC)に提出する書類も準備します。具体的には社名予約、定款(Articles of Association)、株主・取締役名簿など。BOI認定企業としてのステータスを得る場合は、登記完了後にBOI Agreementが最終確定する流れとなることが多いです。


7. 投資認可後に検討すべき手続き:会社設立・ライセンス取得・労務管理

7.1 会社設立完了と納税者番号(TIN)取得

BOIから暫定的な投資認可が下りれば、会社登記(登録完了)→納税者番号(TIN)取得という流れで法人としての実態が整います。銀行口座開設や資本金の振込もこの段階で実施し、初期の資金調達と会計システムを構築します。

7.2 業種別ライセンスや環境許可

製造業や食品業、建設業などでは各省庁から追加ライセンスや環境評価許可(EIAなど)が必要になります。BOI枠組みであっても、該当省庁の専門審査を経ることは省略できず、書類不備による手続きの遅延には注意が必要です。地方自治体が許可権を握るケースもあるため、中央政府と地方の両面で確認を行います。

7.3 労務・人材採用と社会保険

投資認可取得後は、従業員の採用やビザ(KITASなど)、社会保険加入、賃金規定の策定など労務管理の準備が不可欠です。特に外国人駐在員を配置する場合は、雇用許可(IMTA)や役員就任手続きの段階で追加書類を求められるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。


8. One Step Beyond株式会社のサポートについて

スリランカでの投資認可申請は、BOIによる審査・合意書(BOI Agreement)の締結を中心に、多くの行政手続きや書類作成を伴います。海外企業にとっては言語や法制度の違い、政治リスクなどの不確実性があり、専門家の支援を活用することで大幅にスムーズな進出が期待できます。

One Step Beyond株式会社では、アジア各国への進出支援の豊富な経験を活かし、下記のような総合的サポートを行っています。

  1. 初期コンサルティング:事業計画書(Project Proposal)の作成支援、業種規制や投資優遇の事前調査
  2. BOI審査対応:BOI Agreement締結のための交渉、書類準備、投資優遇要件の分析
  3. 会社設立実務:Registrar of Companiesへの登記、定款作成、公証人手配、TIN取得など一括サポート
  4. 労務・ビザ管理:外国人役員やスタッフのKITAS取得、現地スタッフの労務規定策定
  5. リスクマネジメント:政治・社会リスクのモニタリング、税務・会計サポート、トラブル対応

こうした包括的アプローチにより、企業はスリランカ進出の初期段階から事業開始後まで一貫したサポートを受け、時間とコストを節約しながら成長市場への参入を実現可能です。


9. まとめ

スリランカでの投資認可を取得し、優遇措置や円滑なライセンス発行を得ることは、外資企業がスムーズに事業を始め、コストを抑えつつリスクを軽減するうえで大きな意味を持ちます。一方で、BOI認定を受けるためには一定の投資額や事業要件(雇用創出、輸出比率など)を満たし、正確な投資計画書を作成しなければなりません。

  1. BOI(投資委員会)の役割:海外投資家への窓口となり、法人税・関税減免などを付与
  2. 申請準備:業種規制や投資額要件を調査し、プロジェクトプロポーザルや財務計画をまとめる
  3. 投資認可取得から会社設立へ:Registrar of Companiesへの登記、TIN取得、業種別ライセンス取得
  4. 労務・ビザ対応:外国人スタッフの就労ビザ(KITAS)や社会保険の手続き
  5. リスク管理:政治・財政リスクの高い中でBOI枠組みを活用しながら慎重に計画を遂行
  6. 専門家支援の意義:書類不備や審査遅延を防ぎ、ローカルネットワークを活用して事業開始を加速

One Step Beyond株式会社は、こうした手続きの複雑さや多様なリスクを理解し、企業の投資許可取得から会社設立、運営体制の構築まで包括的にサポートいたします。スリランカ市場でのビジネスチャンスを逃さず、戦略的に進出を果たすために、ぜひ私たちの専門家チームをご活用ください。

スリランカ進出のご相談はOne Step Beyond株式会社へ

CONTACT
お問い合わせ

水谷経営支援事務所についてのご意見やご要望などは
お気軽に以下のフォームからお問い合わせくださいませ。