補助対象費用の投資妥当性―なぜこの投資が必要かを論理的に説明する方法:令和6年度補正予算主要補助金のキーポイント 補助対象費用の投資妥当性―なぜこの投資が必要かを論理的に説明する方法:令和6年度補正予算主要補助金のキーポイント

補助対象費用の投資妥当性―なぜこの投資が必要かを論理的に説明する方法:令和6年度補正予算主要補助金のキーポイント

補助対象費用の投資妥当性―なぜこの投資が必要かを論理的に説明する方法:令和6年度補正予算主要補助金のキーポイント

はじめに
中小企業向けに新設された省力化投資補助金中小企業成長加速化補助金新事業進出補助金は、いずれも企業の生産性向上や事業拡大を後押しする大型の支援策です。これらの補助金を活用する際には、「なぜこの投資が必要で妥当なのか」を論理的に説明することが採択のカギとなります。以下では各補助金の制度趣旨と補助対象費用を概観し、補助対象となる投資の必要性をどのように訴求すれば審査で有利になるかを解説します。さらに、費用対効果の考え方や投資根拠のロジック構築方法について、過去の採択傾向を踏まえた計画策定上の留意点とともに述べます。最後に、中小企業の補助金申請支援を数多く手掛けるOne Step Beyond株式会社による支援事例やアドバイスも交え、中小企業が補助金を活用して成長するためのヒントをお伝えします。

1. 中小企業省力化投資補助金

1.1 制度趣旨と補助対象費用

省力化投資補助金は、人手不足解消に資するロボットやIoT機器などの導入を支援する補助金です。具体的には、中小企業が労働力不足を補い業務効率化を図るための省力化設備やシステム導入費用を国が補助し、生産プロセスの効率化や売上拡大、さらには賃上げにつなげることを目的としています。補助対象となる経費には、製造現場のロボットや自動化装置、センサー等のIoT機器、その設置・調整にかかる費用が含まれます。設備に付随する専用ソフトウェアの購入費用やシステム構築費も補助の対象です。例えば、自動包装機や自動検査装置など、人手作業を代替・省力化できる機械装置一式の導入費用が該当します。補助率は原則1/2(小規模事業者等は2/3)で、一般型では補助上限額が最大1億円と大規模な投資も支援されます(カタログ掲載製品から選んで導入する簡易な「カタログ型」は上限1,500万円)。なお、本補助金では一定の賃上げ計画を伴う場合に上限額や補助率が優遇される特例措置(「大幅賃上げ特例」等)も設けられています (担当者に聞く 「より活用しやすく! 令和7年中小企業省力化投資補助金のポイント」 | 経済産業省 中小企業庁) (担当者に聞く 「より活用しやすく! 令和7年中小企業省力化投資補助金のポイント」 | 経済産業省 中小企業庁)。制度の趣旨として、中小企業による積極的な省力化投資を促し、人手不足という深刻な経営課題をテクノロジーで補完することで持続的な成長基盤を築く狙いがあります。

1.2 投資の必要性と審査で有利にするポイント

省力化投資補助金で支援される設備投資は、「なぜそれが必要なのか」を明確に示すことが重要です。多くの中小企業が直面する人手不足は、生産能力の制約やサービス提供の限界につながっています。この補助金を申請する際は、自社の具体的な課題(例えば「熟練作業員の不足により受注対応が追いつかない」「人件費高騰で従来と同じ人員体制を維持できない」等)を示し、それを解決する手段として当該設備投資が不可欠であることを説明しましょう。審査において有利に働くポイントは、導入設備によってどれほどの労働生産性向上や省人効果が見込めるかを定量的に示すことです。例えば「このロボット導入により月間○○時間の作業削減が可能となり、結果として労働生産性を年率3%以上向上させる計画です (担当者に聞く 「より活用しやすく! 令和7年中小企業省力化投資補助金のポイント」 | 経済産業省 中小企業庁)」といった形で、定量目標を掲げると説得力が増します。また、その投資が単に人件費を削減するためでなく、従業員の負担軽減や技能の高度化、売上拡大につながる積極的な投資であることを強調することも重要です。省力化によって生まれた余力で新規受注に対応したり、従業員をより付加価値の高い業務にシフトさせたりする計画を示せれば、「人手不足への対応策」であると同時に「企業成長への戦略的投資」として評価されます。さらに本補助金の趣旨に沿って、賃上げや待遇改善へのコミットも盛り込むと良いでしょう。「省力化による生産効率アップで得た利益を原資に、従業員給与を〇%引き上げる計画です」と説明すれば、補助金の目的である賃上げへの波及もアピールできます 。要は、設備投資の必要性を自社の課題解決と成長ビジョンの両面から論じ、国の政策目的(生産性向上・賃上げ)にも合致していることを示すことが、審査上有利になるポイントと言えます。

1.3 費用対効果と投資根拠の示し方

省力化投資では、「投資に見合う効果があるか」が審査の大きな関心事項です。したがって、費用対効果を客観的な数値や論拠で示すことが不可欠です。定量的には、導入コストに対してどの程度の労務削減効果・生産性向上効果が得られるかを算出します。例えば、「総額○○万円の設備投資により年間△△時間の労働時間を削減でき、人件費換算で年間□□万円のコスト削減効果が見込まれる」といった具体的な試算を盛り込むとよいでしょう。また、単なるコスト削減だけでなく付加価値の増加も示すことが重要です。省力化によって生産数量が増え売上が○%向上する、あるいは納期短縮や品質安定により顧客満足度が向上し受注拡大が期待できるといった形で、収益面へのプラス効果を数字で示します。可能であれば、業界平均や類似導入事例のデータなども引用し、自社計画の妥当性を裏付けると説得力が増します。

定性的な面でも投資根拠を補強しましょう。例えば、「熟練工の減少に対し、この自動化設備は品質ばらつきを抑えクレーム削減につながる」や「危険作業の自動化により職場安全が向上し、人材定着にも寄与する」など、数値に表れにくい効果も事業計画書に記載します。定量的エビデンス(時間削減や費用削減の数値)と定性的効果(品質向上や従業員の役割転換など)の双方を織り交ぜることで、投資の妥当性を多面的に示すことができます。ロボット導入による具体的な業務フローの変化や、従業員がその設備を使いこなすための研修計画なども記せば、投資効果を最大化するための体制が整っている印象を与えられるでしょう。

こうした論理構築にあたっては、現状課題→投資→効果という因果関係を明確に描くことが大切です。現在抱える問題点(生産ボトルネックや過重労働など)を示し、その解決策として対象設備の導入が最適である理由(代替手段では難しい、費用対効果が高い等)を説明し、最後に導入後の業績改善見通しを示す、という流れで記載します。審査員に「この企業はなぜこの設備が必要で、導入により何がどれだけ良くなるのか」が一読して伝わるよう、シンプルかつ定量的な根拠を提示してください。過度に楽観的すぎる試算は信頼性を損なうため、根拠データに基づいた現実的な数値目標を設定することも留意しましょう。

1.4 投資計画策定における留意点(採択傾向を踏まえて)

省力化投資補助金は令和7年度から本格実施された新しい制度ですが、類似する生産性向上策(例えば「ものづくり補助金」のこれまでの採択事例など)から、計画策定時に注意すべき傾向を読み取ることができます。まず、申請要件の確実な充足が大前提です。最低賃金の一定額以上引上げや労働生産性○%向上など、本補助金には応募時点で満たすべき条件・計画策定要件があります (担当者に聞く 「より活用しやすく! 令和7年中小企業省力化投資補助金のポイント」 | 経済産業省 中小企業庁)。公募要領を熟読し、要件漏れによる形式不採択とならないよう注意しましょう。また、省力化設備の導入効果を評価する指標として「省力化指数」などが提示される予定であり、審査では設備の効果を客観的に測るこうした指標にも目が向けられます。自社の計画でも、例えば「導入設備により○人月分の作業削減=省力化指数○○に相当」など、評価指標を意識した記述を盛り込むとプラスに働く可能性があります。

さらに過去の採択傾向から言えるのは、「単なる機械の更新ではなく新たな付加価値創出やビジネスモデルの工夫を伴う案件」が高く評価されやすいという点です。旧来の設備を最新機種に置き換えるだけでは、真の意味での革新性や成長性はアピールできません。そうではなく、「この設備導入を機に製造プロセスを抜本的に見直しDXを推進する」「無人運転技術を活用した新サービスを提供する」など、一歩踏み込んだ取組みとして計画全体を位置付けることが望ましいでしょう。その際、社内の体制(プロジェクト責任者の配置や従業員研修計画)、外部パートナー(機械メーカーやSIerとの連携によるサポート)など、投資を成功させるための具体策も計画に織り込むと信頼性が増します。

審査員は「この企業に補助金を出せば確実に労働生産性が上がり、事業の持続発展につながる」と納得できるかを見ています。そのためには、計画の整合性や裏付け資料の充実もポイントです。見積書やカタログ等で設備の仕様・価格を正確に示すのはもちろん、その設備が自社の課題にマッチする理由をデータとともに示してください。また、補助事業実施後の成果目標(売上○%増、経常利益○倍など)は高すぎても低すぎても評価が難しくなります。過去の補助金では、極端に非現実的な目標は敬遠される傾向があり、一方で慎重になりすぎてインパクトに欠ける計画も埋没しがちです。根拠に基づく野心的かつ実行可能な目標設定を心がけ、計画全体の筋道を通しましょう。

1.5 One Step Beyond株式会社の支援例・アドバイス

当社One Step Beyond株式会社でも、省力化投資補助金の申請支援において多くの企業をサポートしています。その中で感じるのは、現場目線のデータを計画に落とし込む重要性です。例えば製造業A社の事例では、作業日報の蓄積データから「特定工程に月合計100時間の手待ち時間が発生している」ことを洗い出し、これを解消する自動化設備の導入根拠としました。弊社コンサルタントはそのデータを基に、設備導入後に年間○○時間の作業削減と○○万円のコスト改善が見込まれる試算を提示し、申請書に盛り込みました。結果、定量的な裏付けに基づいた計画として高く評価され、見事採択に至っています。ポイントは、自社内に眠るデータや現場の声を活用し「数字」と「説得力のあるストーリー」に仕立てることです。専門家の視点で計画をブラッシュアップすることで、審査員に伝わりやすい資料作成が可能になります。省力化投資補助金に挑戦する企業の皆様も、ぜひ第三者の意見も取り入れつつ、論理的かつ熱意の伝わる計画書作成に取り組んでみてください。


2. 中小企業成長加速化補助金

2.1 制度趣旨と補助対象費用

中小企業成長加速化補助金は、将来的に売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な成長投資を支援するため、2024年度補正予算で新設された大型補助金です (中小企業成長加速化補助金の公募要領が公開されました!(四国経済産業局))。売上高100億円規模の企業は一般に賃金水準が高く、輸出などで外需を取り込みサプライチェーンへ大きな波及効果を持つため、地域経済へのインパクトも極めて大きいとされています (中小企業成長加速化補助金の公募要領が公開されました!(四国経済産業局))。本補助金は、そうした「地域経済を牽引する成長企業」の創出を目的に、中小企業の思い切った設備投資や事業拡大を後押しするものです (中小企業成長加速化補助金の公募要領が公開されました!(四国経済産業局))。

補助対象となる経費は幅広く、工場・物流拠点等の建設費や機械装置の導入費、業務システムや専用ソフトウェアの開発費、外注加工・設計費、専門家(コンサルタント等)への依頼費用などが含まれます (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社) (中小企業成長加速化補助金や新事業進出補助金を創設へ 2024年度補正予算案 | ツギノジダイ)。要するに、自社の事業成長に不可欠なハード・ソフト両面の投資が対象となります。例えば、新工場の建設費や最新鋭の生産ライン設備導入費用、DX推進のためのクラウドシステム構築費用、M&Aによる事業取得に伴うデューデリジェンス等の専門家費用まで、多様な経費が補助金のカバー範囲です (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。補助率は1/2、補助上限額は最大5億円と非常に高額(大胆な投資を促すため特別に高い設定)であり、まさに「中堅企業への飛躍」を目指す中小企業にとって大きな後押しとなるでしょう (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。ただし採択には相応の条件が課されており、賃上げ計画の策定・実行が義務付けられています。具体的には、補助事業終了後3年間にわたり従業員の給与総額を増加させる計画(いわゆる「賃上げ計画」)を提出し、達成が求められます (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。仮に賃上げ未達となった場合は補助金の一部返還等もあり得るため、相応の覚悟と計画精度が必要です。また申請時には、将来的に100億円企業を目指す意思を表明する「100億企業宣言」の公表が必須とされています (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。以上のように、本補助金は高い上限額で大規模投資を支援する一方、賃上げや成長目標のコミットメントを明確に求める制度設計となっています。

2.2 投資の必要性と審査で有利にするポイント

中小企業成長加速化補助金の審査では、「なぜその巨額の投資が今、自社に必要なのか」を合理的に説明することが求められます。単に設備を更新したいという程度の理由では、この補助金の趣旨に合致しません。審査員が期待するのは、その投資によって企業が飛躍的成長を遂げ、地域経済にも好影響を及ぼすという明確なビジョンです (中小企業成長加速化補助金の公募要領が公開されました!(四国経済産業局))。したがって、有利に審査を進めるにはまず自社の成長戦略を具体的に描くことが不可欠です。「5年以内に売上高○○億円規模に成長するために〇〇工場を新設し生産能力を△倍に拡大する」「新市場への進出で海外売上比率を×%に高める」といった定量目標付きのシナリオを提示しましょう。実際、採択のポイントとして「成長戦略が明確で100億円達成のシナリオが具体的であること」が挙げられています (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。ビジョンだけでなく、達成までの道筋(ロードマップ)とマイルストーンを示すことが重要です。

次に、その成長戦略を支える市場環境や競争優位性についてもしっかり分析し説明します。例えば「市場規模が年○%で拡大している〇〇産業において、当社は△△の技術で優位性があり、新工場建設により量産体制を確立すれば国内シェアトップクラスを狙える」といった具合に、自社の強み市場機会を紐付けて語ります。審査では「市場分析と競合優位性の確保」が重要視されると見込まれ (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)、顧客ニーズや競合他社の状況を踏まえた上で自社がいかに成長余地を獲得できるかを示す必要があります (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。データに基づく市場の成長予測グラフや、自社製品の優位性を示す比較表などを用いると説得力が増すでしょう。

さらに、本補助金は地域経済への波及効果も重視しています (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。自社の成長が新規雇用創出や下請企業への発注増など、地域にもたらすプラス効果を具体的に述べることは審査上有利に働きます。「新工場稼働に伴い地元で○○名の雇用を創出」「原材料調達を地域サプライヤーから行い年間△千万円の経済波及」など、地域活性化への寄与を数字や事例で示してください。これは単に審査対応というだけでなく、補助金の政策目的(地方創生や産業集積の強化)にも沿ったアピールになります。

そして忘れてならないのが賃上げ計画の信頼性です。賃上げは単なる申請要件ではなく、本制度の柱の一つです。したがって「なぜその投資が従業員の待遇向上につながるのか」を論理立てて説明します。例えば「設備増強により高付加価値製品の売上が伸び、利益率向上分を原資に3年間で平均給与○%増を実現する」など、補助期間後も持続可能な賃上げが可能であることを計画に盛り込みます (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。賃上げ計画については、過去の補助金でも実現性が重視され、見せかけの計画は後々企業を苦しめる結果となり得ます。人件費の増加分をカバーできる利益計画になっているか、将来的に人員が増えても賃金水準を維持できるか、といった点をシミュレーションしておきましょう。こうした点も含め、「本気で企業を成長させる強い覚悟と実行力」が示されているかが審査で問われます (【速報解説】中小企業成長加速化補助金のポイント解説!公募要領 …)。単なる机上の計画ではなく、経営陣のコミットメントや社内体制(例えば専門部署の設置や人材登用の計画)も記述し、実行可能性を担保する情報を提供してください。

2.3 費用対効果と投資根拠の示し方

成長加速化補助金の申請では、億単位にも及ぶ可能性のある投資について「見合うリターンが得られるか」を示す必要があります。投資規模が大きいだけに、費用対効果のアピールは慎重かつ綿密に行いましょう。定量的には、投下資本に対する利益貢献の度合いを示します。例えば、新工場建設に50億円を投じる計画であれば、「フル稼働時に年商が現在の3倍の○○億円となり、営業利益も△△億円規模に拡大。投資額は○年で回収可能」というように、具体的なROI(投資利益率)や回収期間を算出して提示します。将来5~10年程度の財務見通しを作成し、投資によるBS・PLの変化を示すことも効果的です。補助金無しでも実行する意思を持っていることを示すために、自己資金や金融調達計画も併記し、「この投資が会社の将来を賭けたものである」ことを伝えると、真剣度が伝わります。

費用対効果を示す際には、複数のシナリオを検討しておくことも有用です。楽観ケース・標準ケース・慎重ケースで売上や利益予測を行い、どのケースでも事業継続性と賃上げ達成が可能であることを示せれば、計画の堅実性が伝わります。審査員はリスク要因にも目を配るため、市場環境の変動や競合出現などに対する代替策・リスクヘッジも計画中で触れておくと良いでしょう。例えば「主要原材料価格が想定より20%上昇した場合でも、製品価格転嫁や工程改善で利益率○%を維持できる」といったシミュレーションです。これにより、投資の費用対効果が外部要因に左右されにくく、堅牢な計画であると印象付けられます。

定性的な投資根拠の訴求も忘れてはなりません。大規模投資には企業変革のストーリーが伴います。その投資によって「市場での地位向上」「技術革新による競争優位確立」「ブランド力強化」など、長期的な視点でどんな価値が生まれるのかを描きましょう。例えば「最新設備の導入により当社は国内初の〇〇技術量産化を達成し、イノベーション企業としての評価が高まる」や「働きがいのある職場環境を実現し、優秀な人材採用が加速する」など、数字に表れにくい効果も重要な投資成果です。政府が掲げるDXやカーボンニュートラル等のキーワードとも関連付けられるなら、なお良いでしょう(実際、デジタル技術活用やグリーン対応への取り組みは中小企業支援策の注目点です (中小企業庁令和6年度補正予算に見る中小企業支援の新戦略 | One Step Beyond株式会社))。定量面の採算性と、定性面の戦略的意義の両面から「この投資は将来にわたり大きなリターンをもたらす」ことを示すことが、審査員の納得を得るポイントです。

2.4 投資計画策定における留意点(採択傾向を踏まえて)

中小企業成長加速化補助金は初年度の公募で注目度が高く、応募企業も多いことが予想されます。その中で採択を勝ち取るには、事前準備計画の練り上げが鍵となります。まず、応募に際しては必要な手続き・書類を早めに整えておきましょう。公募期間が限られているうえ、GビズIDプライムの取得や「100億宣言」の公表など、準備に時間を要する事項があります (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。これらを怠ると、そもそも審査の土俵に立てなくなります。過去の大型補助金でも、電子申請の不備や期限未遵守で失格となるケースが散見されました。スケジュールに余裕を持って準備を進めてください。

計画内容の面では、他社との差別化が重要です。成長意欲のある企業は数多く存在する中で、自社の計画が埋もれないよう、独自性や強みを明確に打ち出しましょう。例えば、「大企業には真似できないニッチ市場戦略」「自社開発の独自技術」「◯◯業界での豊富な顧客基盤」など、当社でなければ成し得ない成長ストーリーを提示します。審査員は多数の申請書を読む中で、「この企業は面白い存在だ」と思わせるような切り口があると記憶に残りやすくなります。ただし奇を衒う必要はなく、自社の本質的な強みと市場ニーズを結びつけて論理的に説明すれば十分です。過去の補助金採択企業の事例では、自社の技術・サービスが社会課題の解決や新市場の創出に寄与することを訴求しているケースが多く見られます。自社の成長がひいては社会全体の利益につながるという大義を示せれば、国の支援策としても支援しがいがある案件だと映るでしょう。

また、二段階の審査(書面→プレゼン)が予定されています (〖速報〗「中小企業成長加速化補助金」公募要領公開!企業の成長を加速させるチャンスです! | One Step Beyond株式会社)。書面審査を通過すればプレゼンテーションで直接アピールする機会がありますので、プレゼンを見据えた計画作りも意識しましょう。書類上で盛り込んだ数値や計画について即答できるよう準備し、追加資料や製品サンプル等で視覚的に訴える戦略も考えられます。プレゼン審査では経営者自らが登壇して熱意とビジョンを語る場面も想定されますから、計画策定段階から社内の意思統一を図り、「このプロジェクトで我が社は何を成し遂げたいのか」をチーム全員が共有しておくことが大切です。

最後に、過去の採択結果の分析にも目を配りましょう。類似する補助金(例えば「地域未来投資促進事業」など)の採択企業リストや事例集が公開されていれば、自社計画との共通点・相違点を研究します。採択傾向としては、やはり実現可能性と将来性のバランスが取れている案件が評価される傾向があります。極端な計画(例えば「1年で売上10倍」等)はリスクが高すぎ敬遠され、一方で小さくまとまりすぎた計画も本補助金の趣旨にはそぐわず選ばれにくいでしょう。大胆さと着実さを併せ持った計画こそが理想です。自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)で不足している部分があれば、外部から補う(提携や人材採用計画)などの対策も示してリスクを下げる工夫をしてください。総じて、審査員の視点になり「この計画は成功しそうか?成功したらどれだけ世の中に良い影響があるか?」を客観的に評価してみることが、計画ブラッシュアップのポイントです。

2.5 One Step Beyond株式会社の支援例・アドバイス

One Step Beyond株式会社は、まさにこの成長加速化補助金のような大規模投資案件の事業計画策定支援も行っています。その支援経験から感じるのは、数字の裏付けと物語性の両立が審査突破の鍵だということです。例えば製造業B社のケースでは、当初は「海外進出して売上を伸ばす」というざっくりした計画でしたが、弊社がマーケットデータの分析と事業シミュレーションを支援する中で、「まず東南アジアの○国で販売拠点を設け3年間で現地売上△億円、次いで欧州市場に展開し5年後に総売上○○億円達成」という具体像へとブラッシュアップしました。同時に、「創業家出身の若手社長自らが海外に渡り先陣を切る」というエピソードや、現地パートナー企業との共創による技術革新ストーリーなどを織り交ぜ、計画に熱量と説得力を持たせる工夫をしました。その結果、壮大でありながらリアリティのある成長戦略として高評価につながりました。

このように、当社では最新の公募情報提供はもちろん、事業計画書の精緻化や審査ポイントの整理などを通じて、企業が持つ成長ポテンシャルを最大限引き出すお手伝いをしています (中小企業庁令和6年度補正予算に見る中小企業支援の新戦略 | One Step Beyond株式会社)。成長加速化補助金にチャレンジする企業経営者の皆様には、「企業を○倍に成長させる」という大きな目標を掲げつつも、それを支える一つ一つの数字や施策にリアリティを持たせることを意識していただきたいと思います。One Step Beyond株式会社はそうした経営者の伴走者として、計画策定から申請書類作成、そして採択後のフォローまで多面的に支援しております (中小企業庁令和6年度補正予算に見る中小企業支援の新戦略 | One Step Beyond株式会社)。強い志と周到な準備があれば、中小企業が次のステージ(100億企業)へ踏み出すことも決して夢ではありません。本補助金を活用し、ぜひ貴社の成長ビジョンを実現してください。


3. 中小企業新事業進出補助金

3.1 制度趣旨と補助対象費用

中小企業新事業進出補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新分野・新市場への進出に挑戦する際の設備投資や関連経費を支援するため、令和6年度補正予算で創設された補助金です。人手不足や賃上げプレッシャーなど経営環境が変化する中、中小企業が持続的に成長するには、既存事業の延長だけでなく第二・第三の事業の柱を育てることが重要とされています。本補助金は、新たな事業への前向きな挑戦を後押しし、企業規模の拡大や付加価値向上を通じた生産性向上・賃上げにつなげることを目的としています。言い換えれば、中小企業版「事業多角化・事業再構築」を促進する支援策です。

補助対象経費は幅広く、新事業立ち上げに必要となる設備投資や販路開拓費用を網羅しています。具体的には、建物費(新事業用の生産施設や店舗の建設・改修費)、構築物費(プラントや構造物の設置費)、機械装置費(生産設備や装置類の導入費)、システム構築費(ITシステムやソフトウェア開発費)、技術導入費(特許・ノウハウ導入や試作開発費等)、専門家経費(技術指導やマーケティング等のコンサル費用)、運搬費(設備搬入にかかる輸送費)、クラウドサービス利用料、新製品の知的財産権取得費、そして広告宣伝・販売促進費まで含まれます。要するに、新事業を立ち上げ軌道に乗せるまでの初期投資(ハード面・ソフト面の双方)を総合的に支援する設計です。例えば、新製品製造のための生産ライン新設費用や、テストマーケティングの広告費、商標登録費用、ECサイト構築費用なども対象となり得ます。補助率は1/2で、企業規模に応じた補助上限額が設定されており、従業員数20人以下の企業で上限2,500万円(賃上げなど要件充足で3,000万円に引上げ)、101人以上の企業では上限7,000万円(同9,000万円に引上げ)といった水準です。最低でも750万円以上の事業規模でないと申請できない点にも留意が必要です(それだけ本格的な新事業展開を対象としているということです)。また基本要件として、新事業によって付加価値額を年平均+4%以上増加させ、事業場内最低賃金+30円以上かつ給与総額年平均+2.5%以上増加などの賃金要件を満たす計画を策定する必要があります。これらの数値目標はハードルが高いようにも見えますが、逆に言えばそれだけ高成長・高付加価値化が見込める意欲的な新事業に焦点を当てた補助金といえます。制度趣旨として、新事業進出を通じた中小企業の生産性革命と経営基盤強化が謳われています。

3.2 投資の必要性と審査で有利にするポイント

新事業進出補助金では、「なぜ自社が新事業に乗り出す必要があるのか」を明確にし、その挑戦の意義を伝えることが審査の肝となります。中小企業が新分野に挑む背景には様々な事情が考えられますが、多くの場合、現状の事業環境に限界や課題があり、それを突破するための戦略として新事業を位置付けているはずです。そのため、計画書ではまず現状の課題や機会を整理します。例えば「主力市場が縮小傾向にあり現状維持では売上減が避けられないため、新市場への多角化が必要」とか「既存技術を応用できる成長市場を見極め、新たな収益源を確保するチャンスがあるため挑戦する」といった具合です。審査員に「この会社が新事業を始めるのは自然な戦略であり、必要性が高い」と感じさせることが重要です。

次に、その新事業自体の魅力と成功可能性を示します。ただ闇雲に新しいことをやるのではなく、市場ニーズが存在し競争優位を発揮できる領域を狙っていることをデータで裏付けます。具体的には、ターゲットとする新市場・新顧客の規模や成長性を調査し、「〇〇市場は今後年○%で拡大する見通しであり、顧客が求める△△を提供できる企業は不足している」というように、市場機会を定義します。その上で「当社は◯年にわたり培った××技術を応用することで、高品質な新製品を投入可能」「既存事業で築いた販売ネットワークを活かし、新サービスの全国展開が容易」といった自社の強み・経営資源を新事業にどう活かすかを示しましょう。要は、「市場はある・勝ち筋もある」という論理を組み立てることです。

審査では、これまでの事業再構築補助金などと同様、新規性の高さ実現性のバランスが評価されると考えられます (中小企業成長加速化補助金や新事業進出補助金を創設へ 2024年度補正予算案 | ツギノジダイ)。新事業の内容があまりに既存事業と近しいもの(単なる延長線上)では「新規性」に欠けますし、逆に斬新すぎて社内の経験・強みと結び付かないものは実行力に疑問が生じます。計画書では、「新規性」については製品・サービスが自社にとってどれだけ新しい試みか(過去になかった取組みか)、あるいは市場にとって新規性があるかを説明します。一方で「実現性」については、既存事業とのシナジーや社内の体制、外部パートナーの協力など、成功に向けた具体策を述べます。例えば「新事業立ち上げ専任のチームを設置し、マーケティングの専門人材を新規採用する」「試作品開発は大学と共同で行い技術リスクを低減する」等です。こうした準備状況や体制整備の記述は、審査側に「本気度が高く成功可能性も高い」と印象付けます。単なるアイデア段階ではなく、すでに一定の検討・行動を開始していることをアピールしましょう(例えば市場調査の結果概要や、試作品の写真・評価コメントなどを添付するのも有効です)。

加えて、本補助金の審査では賃上げや生産性向上の見込みもチェックされます。新事業にリソースを割くことで本業がおろそかになりトータルの生産性が下がっては本末転倒です。そうならないために、新事業により企業全体として付加価値が大きく向上するシナリオを提示します。例えば「新事業開始5年後には新事業の売上比率が全体の30%に達し、付加価値額は現在より×億円増加する見込み。これにより従業員一人当たり付加価値額も年平均5%の成長を達成する」といったストーリーです。併せて賃金についても、「新事業の成功により利益基盤が拡大し、従業員給与を安定的に増やせる」ことを定性的・定量的に触れておくとよいでしょう。実際に本補助金では給与総額や最低賃金の引上げが要件とされていますから、それらを無理なく満たす計画であることを示すことが大切です。審査員に「新事業は会社の将来だけでなく従業員の将来にもプラスになる」と伝われば、計画の社会的意義も感じてもらえます。

3.3 費用対効果と投資根拠の示し方

新事業への挑戦では、不確実性が高い分だけ費用対効果の示し方も工夫が必要です。既存事業と違い実績データが乏しいため、論理的な予測と仮説検証によって投資妥当性を示していきます。まず定量的な費用対効果として、新事業計画の損益シミュレーションを詳細に行いましょう。売上予測については、ターゲット市場規模に対する自社の獲得目標シェアや、顧客単価×見込み顧客数などの裏付けを添えて算出します。例えば「初年度はテストマーケティングで1,000万円の売上、3年目に本格展開で5億円、5年目には〇〇の市場シェア××%を獲得し売上15億円に達する」等、期間ごとの売上目標を掲げ、それに基づく収支計画を示します。費用面では、設備償却費、人件費増、販売促進費など新事業にかかる全てのコストを織り込んだ上で、いつ黒字転換し、投資回収が完了するか(例えば「投資額◯億円は5年目で回収」)を明示します。新事業ゆえに不確実性はありますが、事業計画書上はできる限り具体的な数値計画を示すことが重要です。審査員もすべてがその通り実現すると考えているわけではありませんが、計画の精緻さを見ることでその企業の計画能力や本気度を判断します。数字の裏付けには、市場調査会社のレポートや試験販売の結果データ、競合他社の業績など利用できるものは何でも活用しましょう。

費用対効果の説明では、投資に対するリターンを多角的に示すことも有効です。例えば「この新事業によって5年後に年間△億円の売上増が見込め、投資利益率(ROI)は◯◯%になる」といった直接的な収益指標に加え、「新事業開始により従来製品の付加価値も向上し、関連売上が○%伸びる見込み」「事業ポートフォリオの分散により経営リスクが低減し、信用格付け向上や資金調達利率の改善といった間接効果も期待できる」等、戦略的リターンも述べられます。新事業が既存事業にシナジーをもたらすケースでは、その相乗効果をきちんと評価しましょう。例えば「新製品販売を通じて既存顧客との取引額が増える」「新サービスで得たデータを本業の商品改良に活かす」といった相互効果です。これらは定性的ではありますが、企業全体の価値向上につながる重要なポイントです。

また、投資根拠を示す際には段階的な計画であることも示唆しましょう。一度に大きな賭けをして失敗するリスクを抑えるため、ステップを踏んで成長させる戦略は好感を持たれます。例えば「1年目は試作品開発と市場検証に注力(小規模投資)、2~3年目で設備増強と本格販売開始(中規模投資)、4~5年目でフル生産と全国展開(大規模投資)」というフェーズ分けを行い、各段階のKPIと判断基準を設定します。こうすることで、投資の節目ごとにGo/No-Go判断や軌道修正ができる柔軟性をアピールできますし、「闇雲に巨額投資をするのではなくリスク管理しながら進める計画である」ことが伝わります。審査員としても、フェーズごとに成果を検証しつつ進む計画の方が安心感があります。併せて、最初のフェーズについてはすでに自己資金等で実行中・または直後に着手可能であることを示せれば、新事業の実現性が一層高く評価されるでしょう。

定性的な面では、新事業のビジョンと将来像をしっかり語ります。数字には表れないものの、企業の命運をかけるに足る夢のあるプロジェクトであることを熱意を持って伝えてください。例えば「〇〇業界のゲームチェンジャーとなるサービスを提供し、地方から全国へ新たな価値を発信する」など、新事業に懸ける思いを込めることで、計画全体に一本筋が通ります。ただし感情論だけでなく、上述のような論理的裏付けがあってこその熱意である点は忘れずに。感性と論理のバランスを意識し、審査員の心にも響く事業計画書を作成しましょう。

3.4 投資計画策定における留意点(採択傾向を踏まえて)

新事業進出補助金は、新しく始まる制度ゆえ過去実績はありませんが、前身ともいえる「事業再構築補助金」の採択傾向や注意点から学べることがあります。まず、申請要件・形式面の抜け漏れには細心の注意を払いましょう。事業再構築補助金では、認定支援機関による確認書の添付忘れや、新事業の定義(新製品・新市場かつ売上10%以上の要件)を満たさない申請が散見され、事務局から注意喚起がなされた経緯があります (事業再構築補助金で「評価が著しく低い申請が散見」 事務局が注意喚起 | ツギノジダイ)。新事業進出補助金でも、公募要領に定められた新規性要件(事業者にとって新規性のある製品・サービスを新たな顧客に提供すること)や賃金要件など、必須の条件を確実に充足していることを示す必要があります。自社にとって何が「新規事業」に当たるのかを社内で定義し、申請書中で明示しましょう(例えば「当社は創業以来◯◯事業を営んできたが、本計画は初めて△△領域に進出するものである」等)。要件に抵触しないか不安な場合は、中小企業診断士など第三者の意見を仰ぐことも有効です。

次に、審査観点を踏まえた計画作りです。事業再構築補助金の審査項目から推測すると、新事業進出補助金でも以下の点が重視されるでしょう。【1】事業計画の有効性…新事業の狙いと方法が的確で成果創出の可能性が高いか。【2】事業者の能力…実行するだけの技術・人材・財務基盤が備わっているか。【3】事業化後の持続性…一過性でなく中長期的に事業を育てられる見通しがあるか。【4】政策との合致…地域経済や産業構造の転換に資する内容か、賃上げ等の波及効果が見込めるか。これらを念頭に置き、自社計画を客観視してみてください。特に【2】に関して、新事業に必要なスキルや設備が社内に足りない場合、その補完策(採用計画や外部企業との協業など)まで示しておくと安心材料になります。また【3】に関連して、補助事業期間終了後も事業を継続・拡大していく意思と計画を示すことも重要です。補助金ありきのプロジェクトではなく、仮に不採択でも事業を進める覚悟があるくらいのスタンスで取り組む方が、計画に実行力が宿ります。

過去の成功事例と失敗事例の研究も役立ちます。例えば事業再構築補助金で採択された企業の事例集を読むと、成功事例では市場ニーズの裏付けや具体的な数値計画の緻密さが際立ち、逆に不採択だったケースでは計画の粗さや根拠不足が指摘されています (事業再構築補助金で「評価が著しく低い申請が散見」 事務局が注意喚起 | ツギノジダイ)。これらから学び、自社の計画書のブラッシュアップに活かしましょう。また、新事業となると社内でも未知の領域で不安があるかもしれません。その場合、段階的に目標を設定すること、早期に小さく試してみること(リーンスタートアップの考え方)は有効です。仮に補助金申請前でも可能な範囲で市場テスト等を行い、その結果を申請書に反映できればベターです。例えば「試作品を限定顧客に提供したところ高い評価を得た」などのエビデンスがあれば、審査員の心証も大きく変わります。

最後に強調したいのは、新事業への情熱と冷静な計画策定の両立です。新規事業にはワクワクする面がありますが、補助金申請書ではそれを“伝わる言葉”に落とし込まねばなりません。専門用語ばかりになっていないか、第三者が読んでも理解できるかを確認し、必要に応じて図表を用いて視覚的に訴える工夫もしてください。採択率は決して高くないことが予想されますが、だからこそ周到な準備が光ります。応募のタイミングを逃さないことはもちろん、認定支援機関等とも連携しながら推敲を重ね、自信を持って送り出せる計画書を作り上げましょう。

3.5 One Step Beyond株式会社の支援例・アドバイス

弊社One Step Beyond株式会社では、事業再構築補助金で数多くの企業支援を行ってきたノウハウを活かし、新事業進出補助金についても万全のサポート体制を整えています。実際に、サービス業C社の新規事業進出支援では、市場リサーチから事業計画書作成まで伴走し、高評価での採択につながった事例があります。C社はコロナ禍で需要が拡大したオンライン教育ビジネスに新規参入する計画でしたが、初めは「オンライン講座を始めたい」という大まかな構想しかありませんでした。そこで弊社コンサルタントが市場データを集め、競合他社の分析や潜在顧客へのアンケート調査をサポート。ニーズの高い講座分野を絞り込み、初年度の具体的な集客人数と売上予測を立てました。また、既存の対面教育事業とのシナジー効果として「オンライン講座受講者の一部を対面高単価サービスに誘導し、生涯顧客化する」戦略も盛り込みました。こうした定量・定性両面の計画づくりを通じて、新事業の将来性と収益性、そして本業との相乗効果を明快に示すことができ、審査員の納得感を得る計画書が完成しました。

新事業立ち上げは企業にとって未知の航海のようなものです。当社では経営コンサルタントや中小企業診断士が、羅針盤となるべく企業と伴走し、仮説検証のお手伝いや計画書のブラッシュアップを行っています (中小企業庁令和6年度補正予算に見る中小企業支援の新戦略 | One Step Beyond株式会社)。「思いはあるが、どう数字に落とし込めばいいかわからない」という経営者の方も多いですが、我々専門家と対話を重ねる中で事業の全体像がクリアになり、申請書の説得力が飛躍的に高まります。新事業進出補助金は、中小企業にとって新たな扉を開く絶好のチャンスです。ぜひ綿密な準備と大胆な発想でこの機会を掴み、未来の成長エンジンを育ててください。One Step Beyond株式会社も、皆様のチャレンジを全力でサポートいたします。


おわりに
以上、3つの補助金制度それぞれについて制度概要と投資妥当性のアピール方法を解説しました。共通して言えるのは、補助金申請においては「政策の意図を汲み、自社の成長計画と合致させ、数字と論理で語る」ことが何より大切だということです。中小企業がこれら補助金を活用する際、本記事で述べた考え方や具体策がお役に立てば幸いです。補助金はゴールではなく手段に過ぎません。この機会をテコにして“One Step Beyond”――一歩先の未来へ踏み出すことが、企業の持続的な発展につながることでしょう。ぜひ健闘を祈ります。

CONTACT
お問い合わせ

水谷経営支援事務所についてのご意見やご要望などは
お気軽に以下のフォームからお問い合わせくださいませ。