目次
- インドネシア競争法(独占禁止法)とKPPUの概要
- 規制対象となる取引の類型
- M&Aにおける届出・報告義務の基準
- 技術提携・ライセンス契約に関する競争法上の留意点
- 違反時のリスクと制裁措置
- 実務対応上のポイント(事前相談や社内体制)
- One Step Beyond株式会社による競争法対応サポート
- まとめ
1. インドネシア競争法(独占禁止法)とKPPUの概要
インドネシアには、1999年制定の「反独占・不公正事業競争取締法」(通称:独占禁止法)があります。これは日本の独占禁止法に相当し、市場における独占的な取引慣行や不公正な競争行為を防止するための基本法です。この法律に基づき設置されたのが事業競争監視委員会(KPPU)です。KPPUはインドネシア語でKomisi Pengawas Persaingan Usaha(英語名: Indonesia Competition Commission)といい、インドネシアにおける独立した競争当局です。政府から独立した機関として、公正な競争を維持するための調査・審判やガイドライン策定の権限を持ち、大統領および国会に対して活動報告を行います。
KPPUは具体的に、企業間の協定や事業活動が市場での競争を著しく制限していないかを監視し、違反の疑いがあれば調査・審理を行います。違反が認定されれば、是正措置や制裁(金銭的罰則等)を科す権限があります。また、KPPUは競争法に関するガイドラインの発出や政府への意見具申も行っており、インドネシアの競争政策の要となる機関です。特に談合やカルテルの摘発、優越的地位の乱用監視、そして一定規模以上の企業結合(M&A)の届出審査などが重要な任務となっています。
2. 規制対象となる取引の類型
インドネシア競争法は、企業間の様々な取引や行為に対して適用され、その中には日本の中小企業が現地で行う可能性のあるM&Aや業務提携も含まれます。大きく分けると、以下の類型が規制対象となります。
- 企業結合(M&A): 企業の合併(Merger)や買収(Acquisition)、会社の統合(Consolidation)など、事業主体同士が一体化する取引です。株式取得による子会社化やジョイントベンチャー(合弁会社の設立)も含まれます。インドネシア競争法では、こうした企業結合によって市場支配力が高まり、独占的な市場構造や不公正な事業競争をもたらすおそれがある場合、事前・事後の届出や審査が求められます。特に一定規模以上の企業結合はKPPUへの報告義務が課されており、詳細は後述します。
- 協定行為(カルテル・提携など): 複数の企業が競争を制限する内容で合意する行為です。競合他社同士で価格を取り決める価格カルテルや市場や顧客の割当(マーケットアロケーション)、入札談合などの水平的協定は厳しく禁止されています。また、サプライヤーと販売代理店の間での再販売価格の拘束や、排他的販売契約(競合他社の商品を扱わない条件付き取引)といった垂直的協定も、競争を著しく害する場合には違法となります。インドネシア法では、法律上あらかじめ具体的な禁止行為類型が列挙されており(例:価格協定、供給制限、ボイコット、市場分割、取引の拘束条件付き販売など)、それらに該当し競争制限的効果がある協定は違法となります。
- 市場支配的地位の濫用: 単独または少数の企業が市場の大部分を支配する状態(いわゆる支配的地位)にある場合に、その地位を乱用して競争を阻害する行為も禁止されます。例えば、圧倒的な市場シェア(一般に1社で市場占有率50%以上)を持つ企業が、不当に低価格で新規参入を阻む、技術の発展を妨げるような排他戦略を取る、といった行為が該当します。また、関連する規制として相互株式保有や役員の兼任(インターロッキング)による複数企業の結合支配も、一定の基準(2~3社で市場シェア75%以上など)を超える場合は禁止されます。
以上のように、競争法は「企業結合(統合)」「企業間協定」「市場支配行為」の三本柱で競争制限行為を広くカバーしています。したがって、日本企業がインドネシアで事業を行う際には、買収や提携スキームが競争法上問題ないか、また契約条項に競争制限的な取り決めが含まれていないか注意する必要があります。
3. M&Aにおける届出・報告義務の基準
一定規模以上のM&A(合併、買収、合弁設立など)を実行した場合、取引完了後にKPPUへ報告(届出)する義務が生じます。インドネシア競争法では、事後届出制(クロージング後の報告義務)が採られており、違反防止のために取引完了から30営業日以内にKPPUへ届け出ることが求められています。この届出義務が発生するか否かの客観的な基準が定められているため、まずは自社の取引がその基準に該当するかを確認しなくてはなりません。
●届出義務が生じる基準(取引規模要件)
2023年3月に施行された最新のKPPU規則(第3号)により、以下の2つの数値基準のいずれかを満たす企業結合は届出が必要と定められています。
- 総資産(アセット)規模: 取引当事会社全体のインドネシア国内における総資産額が 2.5兆ルピア(約225億円)を超える場合(※銀行業同士の取引の場合は特例として 20兆ルピア(約1,800億円)超)。
- 総売上高(売上)規模: 取引当事会社全体のインドネシア国内における年間売上高が 5兆ルピア(約450億円)を超える場合。
上記「全体のインドネシア国内」という点が重要で、インドネシア国外での資産・売上は含まれません(2023年改正前は世界全体の合計で判定していたため、多数の外国企業案件が届出対象となっていましたが、現在はインドネシア国内分のみに限定されています)。また売上高については「インドネシア国内で生じた売上」(インドネシアから海外への輸出売上は除外)と定義されています。
●インドネシア事業の有無(国内関連性要件)
さらに取引当事者のインドネシアにおける事業活動の有無も届出義務判断のポイントです。2023年規則では、取引のすべての当事会社がインドネシア国内で資産または売上を有している場合にのみ届出義務が生じると明確化されました。これは、当事者の一方しかインドネシアと関わりがない純粋な外国企業間取引(いわゆるシングル・ネクサス案件)は原則として届出不要であり、両当事者がインドネシア市場で事業展開している場合(デュアル・ネクサス案件)のみに対象を絞る運用です。この変更により、インドネシアに無関係な海外M&Aにまで届出義務が及ぶことが避けられ、外国企業にとっての負担は軽減されました。
●その他の対象取引範囲
企業結合の定義には、合併・吸収だけでなく株式取得(一定割合以上の株式を取得して経営権を取得する場合)や事業の譲受け(資産の買収)も含まれます。特に株式取得については、取得持株比率が直接50%を超えなくとも、支配権の取得とみなされる場合には届出対象となりえます。また、複数社が新たに出資して設立するジョイントベンチャー(JV)も、そのスキームが実質的に株式の取得・合併に該当すると判断される場合には届出が必要です(※現行法では資産の取得やJV設立は明示的規定がありませんが、新法案ではこれらも対象に含める方向で議論されています)。
以上の基準に該当する企業結合を行った場合、取引完了日から30営業日以内にKPPUへ届け出る義務があります。届出は所定のフォームに取引内容や当事者の財務情報、市場シェアなどを記載し、必要資料を添付して提出します。現在はKPPUのオンラインシステムから電子届出も可能です。期限内の届出を怠ると、1日当たり最大1億ルピアの遅延罰金が科される仕組みで、最大で25億ルピア(約2億円弱)まで積み上がる可能性があります。KPPUは近年この期限遵守を厳格に求めており、実際に届出遅延企業に罰金処分を課すケースも増えています。
なお、インドネシアの企業結合審査は事後審査が原則ですが、企業側の任意で事前にKPPUへ相談・審査申請を行うこともできます。これを行えば取引実行前にKPPUから競争影響について見解を得られる利点があります(リスクの高い取引の場合、事前相談により条件付クリアランスを模索することも可能です)。ただし正式な義務履行としては取引完了後の届出が必要であり、事前相談をした場合でも事後届出は免除されません。
4. 技術提携・ライセンス契約に関する競争法上の留意点
インドネシア進出にあたっては、現地企業との技術提携やライセンス契約、あるいは共同販売・代理店契約など株式を伴わない業務提携も多く検討されます。これらは一見すると単なる契約上の取り決めですが、その内容次第では競争法上の「企業間協定」に該当し、独占的・排他的な取り決めが競争制限とみなされる恐れがあります。以下、特に注意すべき点を解説します。
●知的財産のライセンス契約: 技術ライセンスや商標使用許諾など、知的財産(IP)に関する契約は、一般に権利者が相手方に一定の独占的権利を与えたり競業を制限したりする条項を含みがちです。ただしインドネシア競争法では、知的財産権に関する契約について一定の例外規定が設けられています。具体的には、「知的財産に関するライセンス契約やフランチャイズ契約は競争法の適用除外とする」旨が法律第50条に規定されています。このため、適法に知的財産権を活用するための通常のライセンス契約であれば、直ちに独占禁止法違反とはみなされにくい枠組みになっています。
もっとも、この適用除外は無制限ではありません。KPPUが定めたガイドライン(2009年KPPU規則第2号)では、「知財契約であっても競争法の目的(経済の民主化、公共の利益保護、公正な機会の確保等)に反する内容を含む場合には、適用除外の範囲外となる」とされています。例えば、単なる特許ライセンス契約であっても、それが実質的に価格協定や市場分割を隠す手段とみなされれば違法となり得ます。またライセンス契約は所定の知財法に基づき適切に政府機関へ登録されていることも条件とされており、形式面の要件も満たす必要があります。したがって、日本企業としてはライセンス提供先との契約条項が知財権の範囲を超えて競争を不当に縛るものになっていないか、慎重に検討することが重要です。
●競業禁止条項・独占的取り決め: 業務提携契約で頻出する競業禁止条項(ある当事者が一定期間、自社と競合する事業を行わない旨の約束)や、独占販売権・独占仕入れ権の付与(特定地域で一社だけに販売権を与える等)は、場合によっては競争法上問題視されます。インドネシア競争法では、他社に商品を再販売する際に競合他社の商品を扱わないことを条件にする契約や、再販売先の地域や相手を制限する契約などが「閉鎖的契約(排他的協定)」として列挙されており、原則として違法です。そのため、日本企業が現地代理店との間で独占販売契約を結ぶ場合や、技術供与先に競合製品の製造販売を禁止する場合には注意が必要です。
ただしKPPUも近年は柔軟な姿勢を見せており、2011年のガイドラインでは一定の独占的取引条件であっても市場への正の効果(効率性向上や消費者利益増進など)が認められる場合には考慮する旨を示しています。つまり、形式的には違反となり得る契約条項でも、実質的に見て競争を著しく阻害していなければ直ちに摘発されるわけではありません。たとえば、新技術製品の販売に際し短期間の地域独占を代理店に与えることは、流通インセンティブを高め市場拡大につながる合理的理由があると評価されれば許容される可能性があります。もっとも、この判断はケースバイケースであり、企業側で独自行うのは困難です。競業禁止や独占条件を契約に盛り込む際は、必ず競争法の専門家に妥当性を確認することが望まれます。
●情報交換や価格調整に注意: 技術提携や共同販売では、提携先企業との間で市場情報や顧客情報を共有する場面も出てきます。しかし、競合関係にある企業同士が価格や顧客リスト、生産計画等の戦略情報を交換することはカルテルの一形態とみなされるリスクがあります。善意で情報交換したつもりが、「実質的に価格を協調していた」などと判断されると独占禁止法違反となりかねません。共同事業を行う場合でも、必要最小限の情報共有に留め、価格設定や販売先の独立性を保つことが重要です。
以上の点を踏まえ、インドネシアでの非株式ベースの提携契約においても、契約内容が競争制限的にならないよう十分留意しましょう。特に契約書中の独占権付与条項や競業避止義務条項は、その必要性と範囲(地域・期間・対象事業)が適切かどうか検討し、不安があれば現地の専門弁護士にチェックしてもらうことをおすすめします。
5. 違反時のリスクと制裁措置
万一インドネシア競争法に違反する行為を行ってしまった場合、企業は様々なリスクと制裁に直面します。主なものを挙げると以下の通りです。
●行政制裁(金銭的ペナルティ): KPPUは違反企業に対し制裁金(ファイン)を科すことができます。現行法では違反1件あたり最大で25億ルピア(約2億円前後)の罰金が科され得ると規定されており、談合やカルテルで摘発された企業には高額の制裁金納付命令が出されるケースがあります。また前述のように、企業結合の届出遅延については日割計算の罰金(1日につき1億ルピア、上限25億ルピア)という形で科されます。制裁金の金額や算定方法については法改正で引き上げの議論もあり、将来的に上限額が大幅に増額(例えば500億ルピアまで)される可能性があります。
●取引の無効化・是正措置: KPPUは違反行為に対し、違反状態の是正命令を出すことができます。例えば、違法な協定が存在する場合にはその協定内容の取消し(契約条項の無効化)を命じたり、支配的地位の乱用が認定された場合にはその行為の停止を指示することがあります。企業結合(M&A)が事後審査の結果「競争を著しく制限する」と判断された場合には、合併の是正(特定事業の分離や株式売却命令)が勧告されることもあり得ます。最悪のケースでは、成立済みのM&Aであっても取引自体の無効(統合の解消)を求められるリスクもあります。実際にインドネシアでは過去、大企業同士の合併案件でKPPUが厳しい条件付き承認を出し、資産売却による市場構造の修正を要求した例も報告されています。
●刑事罰の可能性: インドネシア競争法には刑事罰の規定も存在します。悪質な独占的取引やカルテル行為に関与した企業経営者等に対しては、禁錮刑(最大6か月)や罰金刑(最大1億ルピア)を科すことが法律上認められています。ただし、これまで実際に刑事訴追に発展した例はなく、運用上はKPPUによる行政的措置が中心です。もっとも、今後の法改正次第では刑事制裁の位置付けが変わる可能性も指摘されています(新たな競争法改正案では刑事罰を廃止する代わりに行政制裁金の上限引き上げが検討されています)。
●企業イメージの失墜と取引停止: KPPUによる違反認定は公表されるため、企業名がニュース等で広く報じられます。その結果、社会的信用の低下や現地ビジネスパートナーからの信頼毀損といったレピュテーションリスクも無視できません。特にカルテルや入札談合は公共調達からの一定期間排除(指名停止)措置につながることもあり、今後の営業活動に支障を来す恐れがあります。現地の商習慣に不慣れな外国企業であっても「法令遵守を軽視する企業」と見做されれば、現地政府との関係にも悪影響が及ぶでしょう。
このように、競争法違反は金銭的損失のみならず企業の事業継続や対外信頼にも深刻な打撃を与えます。インドネシア進出企業としては、「うっかり届出漏れ」「何気なく結んだ契約条項」が命取りとならぬよう、事前にしっかり対応策を講じる必要があります。
6. 実務対応上のポイント(事前相談や社内体制)
インドネシアでM&Aや業務提携を行う際、競争法違反を防ぐために企業側で取るべき実務対応のポイントを整理します。
●現地専門家への早期相談: 進出検討段階から現地の競争法に詳しい弁護士やコンサルタントに相談することが重要です。特にM&A案件では、取引スキームが届出義務の対象か否か(資産・売上の基準達成状況、インドネシア事業の有無など)を早めに判定する必要があります。社内だけでは難しい場合、インドネシアの弁護士や日本人の専門家にデータを提示して判断を仰ぎましょう。届出が必要と判明した場合は、クロージング日からの届出期限(30営業日)を逆算し、必要書類の準備や翻訳、公証手続きなどに十分な時間を確保するスケジュールを組むべきです。
●契約段階での競争法チェック: 業務提携やライセンス契約を締結する際は、契約書ドラフトの段階で競争法上問題となり得る条項を精査しましょう。具体的には、独占的販売権や競業避止義務、価格設定に関する取り決め、情報交換の範囲などです。社内の法務担当者にインドネシア競争法の知見がない場合でも、日本の独禁法や他国の競争法に照らしてリスクがありそうな箇所はピックアップできます。それを踏まえ、「この条項はインドネシアで問題にならないか」と現地弁護士に確認を取るプロセスを挟むと安心です。また、必要に応じて契約書中に「本契約は適用法令(競争法を含む)に反しないものと解釈される」旨のセーフガード条項を入れることも検討できます(※ただし違法な内容そのものを正当化する効力はない点に留意)。
●KPPUとのコミュニケーション: 大型案件の場合、KPPUに対して事前に非公式な相談を行うことも有益です。KPPUは問い合わせ窓口を設けており、届出要否や手続き方法について照会することができます。また必要であれば事前協議(プレファイル)を公式に申請し、取引が競争に与える影響についてKPPUの予備的見解を求めることも可能です。もっとも、事前相談をしたからといって本番の審査で保証が得られるわけではありませんが、少なくともKPPUとの信頼関係を築き、当局にオープンな姿勢を示すことは後々の交渉を円滑にするでしょう。違反の疑いをもたれてから慌てて対応するより、「転ばぬ先の杖」として積極的に当局と対話する姿勢が大切です。
●社内コンプライアンス体制の整備: 現地法人や駐在員事務所を設立した後は、継続的な競争法コンプライアンスにも注力しましょう。社員に対する競争法の研修を行い、「他社と価格について話し合ってはいけない」「市場シェアが高い場合の営業行為は慎重に」など基本ルールを周知徹底することが望まれます。万一KPPUから調査協力要請や事情照会が来た場合に備え、現地語で即座に対応できる窓口担当者を決めておくのも有効です。日本本社の法務部門とも連携し、トラブル発生時には迅速にエスカレーションして専門家対応に移せる体制を整えておきましょう。
7. One Step Beyond株式会社による競争法対応サポート
インドネシアでの競争法対応は、日本企業単独で進めるにはハードルが高い面があります。言語(インドネシア語)や法律体系の違いに加え、現地当局(KPPU)との交渉には専門的な知識とノウハウが求められるためです。そこで活用したいのが、アジア新興国への進出支援に実績を持つ One Step Beyond株式会社 のサービスです。同社では、M&Aや業務提携に関する規制対応について以下のような包括的支援を提供しており、中小企業でも安心してインドネシア展開を進めることができます。
- 競争法リスクの事前診断と戦略立案
- 進出初期の段階から、予定しているM&Aスキームや提携契約案について競争法上の論点を洗い出します。インドネシアの資産・売上データを基に届出義務の有無を判定し、万一リスクが高い場合は代替案の検討も含めてアドバイスします。
- 進出初期の段階から、予定しているM&Aスキームや提携契約案について競争法上の論点を洗い出します。インドネシアの資産・売上データを基に届出義務の有無を判定し、万一リスクが高い場合は代替案の検討も含めてアドバイスします。
- 現地法律事務所との連携サポート
- 信頼できるインドネシアの競争法専門弁護士や法律事務所と提携しており、必要に応じて適切な現地弁護士をマッチングします。日本企業のニーズを正確に伝え、現地弁護士からの法的見解を分かりやすくフィードバックする橋渡し役を担います。言語面・文化面でのギャップを埋めつつ、質の高い法務サービスを受けられるよう調整します。
- 信頼できるインドネシアの競争法専門弁護士や法律事務所と提携しており、必要に応じて適切な現地弁護士をマッチングします。日本企業のニーズを正確に伝え、現地弁護士からの法的見解を分かりやすくフィードバックする橋渡し役を担います。言語面・文化面でのギャップを埋めつつ、質の高い法務サービスを受けられるよう調整します。
- KPPU届出・対応実務の支援
- M&Aの届出が必要な場合、提出書類の準備からKPPU担当者とのやり取りまで一連のプロセスをサポートします。申請フォームのインドネシア語記載や必要資料の翻訳、公証手配といった煩雑な作業を代行し、期限内の確実な届出を実現します。また、KPPUから追加質問やヒアリング要請があった際も現地弁護士と連携して迅速に対応し、当局とのコミュニケーションを円滑に進めます。
- M&Aの届出が必要な場合、提出書類の準備からKPPU担当者とのやり取りまで一連のプロセスをサポートします。申請フォームのインドネシア語記載や必要資料の翻訳、公証手配といった煩雑な作業を代行し、期限内の確実な届出を実現します。また、KPPUから追加質問やヒアリング要請があった際も現地弁護士と連携して迅速に対応し、当局とのコミュニケーションを円滑に進めます。
- 契約レビューとコンプライアンス研修
- 技術提携契約や販売代理店契約について、競争法の観点から条項をチェックしリスク箇所の修正提案を行います。さらに、現地法人の従業員向けに独占禁止法の基礎や注意事項を解説する研修プログラムの提供も可能です。日々の営業活動で知らず知らずのうちに違反行為をしないよう、実例を交えた教育をサポートします。
- 技術提携契約や販売代理店契約について、競争法の観点から条項をチェックしリスク箇所の修正提案を行います。さらに、現地法人の従業員向けに独占禁止法の基礎や注意事項を解説する研修プログラムの提供も可能です。日々の営業活動で知らず知らずのうちに違反行為をしないよう、実例を交えた教育をサポートします。
One Step Beyond株式会社は、このように日本企業の実情に即した柔軟なサポートで、インドネシア進出時の競争法対応をトータルに支援してくれます。専門知識が必要な分野だからこそ、経験豊富なパートナーを活用することで自社の負担を軽減し、本業に専念することが可能となるでしょう。
8. まとめ
インドネシアで事業を成功させるには、競争法(独占禁止法)への対応を避けて通ることはできません。特にM&Aや業務提携は企業成長の大きな機会である一方で、公正な競争を阻害しないよう注意深く進める必要があります。本ガイドで解説したように、一定規模以上の企業結合にはKPPUへの届出義務があり、期限を守らなければ高額な罰金リスクがあります。また、提携契約の内容次第では独占的な取り決めが違法と判断される可能性もあります。
中小企業にとって、自社のみでこうした法規制を調査・遵守するのは容易ではありません。しかし、幸いなことにインドネシアには信頼できる専門家や支援会社が存在します。「郷に入っては郷に従う」の精神で、現地の競争法ルールを正しく理解し、プロの力も借りながら万全の対応策を講じてください。適切な法令順守は、現地政府や取引先からの信用につながり、ひいてはビジネスの安定と発展をもたらす重要な土台となります。インドネシア進出を検討中の皆様は、本記事を一つの手引きとして、公正かつ健全な事業展開を実現されることを願っています。
インドネシア進出のご相談はOne Step Beyond株式会社へ
参考リンク一覧
- インドネシア事業競争監視委員会(KPPU) 公式サイト
https://kppu.go.id/ - インドネシア競争法(独占禁止法) 原文(英文訳)【PDF】
Law No.5 of 1999 on the Prohibition of Monopolistic Practices and Unfair Business Competition
(英語版PDF。インドネシアにおける独占禁止法の条文を収録)
https://www.flevin.com/id/lgso/translations/Laws/Law%20No.%205%20of%201999%20on%20the%20Prohibition%20of%20Monopolistic%20Practices%20and%20Unfair%20Business%20Competition%20(BKPM).pdf - 公正取引委員会「各国・地域の競争法制度:インドネシア」
(日本の公正取引委員会によるインドネシア競争法制度の概要解説ページ)
https://www.jftc.go.jp/kokusai/worldcom/alphabetic/i/indonesia.html - Nishimura & Asahi ニュースレター(2023年6月1日)「独占禁止法: インドネシアの新たな企業結合届出規則について」【PDF】
(インドネシアKPPU規則改正(2023年)のポイントを解説した日本語資料。届出基準の変更点等を詳述)
https://www.nishimura.com/sites/default/files/newsletters/file/asia_230601_jpn.pdf - SSEK法律事務所 ブログ(2024年8月8日)「Nexus Between Competition and IP Rights in Indonesia」
(インドネシア競争法と知的財産権の関係について解説した記事。IPライセンス契約の適用除外規定に関する情報を含む)
https://ssek.com/blog/nexus-between-competition-and-ip-rights-in-indonesia/ - ABNR法律事務所 ニュース(2023年4月12日)「Indonesian Competition Commission Rolls Out Major Overhaul of Merger Control Regime」
(インドネシア競争委員会による企業結合規制の大幅改訂についての英文ニュース。届出基準の変更や手続き簡素化について記載)
https://www.abnrlaw.com/en/news/indonesian-competition-commission-rolls-out-major-overhaul-of-merger-control-regime - Global Compliance News – Antitrust and Competition in Indonesia (by Baker McKenzie, 2021)
(インドネシア独占禁止法の概要をまとめた英文記事。禁止行為の類型や届出制度、制裁に関する解説を含む)
https://www.globalcompliancenews.com/antitrust-and-competition/antitrust-and-competition-in-indonesia/ - Norton Rose Fulbright ファクトシート(2023年4月)「Indonesia: Competition law fact sheet」【PDF】
(国際法律事務所によるインドネシア競争法の解説資料。主要規制内容や近年の執行動向、手続き概要を簡潔にまとめている)
https://www.nortonrosefulbright.com/-/media/files/nrf/nrfweb/knowledge-pdfs/51487emeabrochureindonesia-antitrust-law-factsheet-update-to-40576-1.pdf?la=en&rev=4611686018427387904