2025年4月22日、公募要領が公開された「新事業進出補助金」について、その速報と詳しい解説をお伝えします。本補助金は、既存事業とは異なる新市場への進出や高付加価値事業への挑戦を支援するために新設された制度です。中小企業の方々がこの機会を活用し、新たなビジネスチャンスを切り拓くうえで必要な情報をまとめました。補助金の概要(申請要件、補助金額、補助対象費用、スケジュール)や他の補助金との関係(事業再構築補助金、ものづくり補助金の採択歴がある場合の申請制限)、そして申請準備と採択のためのポイントをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
1. 新事業進出補助金とは
1-1. 制度の背景と目的
コロナ禍後の経済回復を背景に、中小企業がコロナ禍以前から抱える構造的課題(人材不足や生産性向上の遅れなど)を解消し、さらに新たな市場や高付加価値分野へ進出することが日本経済全体の底上げにつながると期待されています。こうした状況を受け、経済産業省・中小企業庁では2025年度、新たに「新事業進出補助金」を創設しました。
本補助金の狙いは、「既存の事業領域から新たな市場・顧客層へ踏み出す中小企業を大胆に支援し、企業の付加価値向上と雇用創出につなげる」というものです。事業再構築補助金の後継的な位置づけで、より幅広く前向きな投資を促す目的があります。単なる現状維持や設備更新ではなく、成長を目指す意欲的な中小企業が新規事業に踏み出すための制度として、賃上げや付加価値向上など政策目標が強く織り込まれている点も特徴的です。
1-2. 事業再構築補助金との違い
「事業再構築補助金」はコロナ禍の急激な経済変化に対応するための制度として設計され、当初は売上高減少要件などが導入されていました。一方で、この「新事業進出補助金」には売上減少要件がなく、より意欲的な投資を行う企業を広く支援する仕組みとなっています。大枠の要件は共通する部分がありますが、より長期的な観点で新市場開拓や賃上げを重視している点が特徴です。
事業再構築補助金は「コロナ禍からの再建」を念頭に置いた制度でしたが、新事業進出補助金は次のステージとして「コロナ後も継続的に挑戦し、企業を大きく成長させる投資」に重点を移しています。したがって、単に売上が減った企業を救済するのではなく、前向きな事業転換を支援する補助金と言えるでしょう。
2. 補助金の概要
2-1. 申請要件
新事業進出補助金に応募するためには、以下の主な要件をすべて満たす必要があります。
- 新事業進出要件
- 自社の既存事業とは異なる、新たな製品・サービス・市場に挑戦する事業であること。
- 単なる設備更新や生産ラインの増強ではなく、新たに参入する顧客層・市場を明確にする必要があります。
- 自社の既存事業とは異なる、新たな製品・サービス・市場に挑戦する事業であること。
- 付加価値額要件
- 事業終了後3~5年の計画期間で、付加価値額(または一人当たり付加価値額)の年平均4.0%以上成長を目標とすること。
- 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を合計した指標で、生産性向上や高付加価値化を示す重要な基準となります。
- 事業終了後3~5年の計画期間で、付加価値額(または一人当たり付加価値額)の年平均4.0%以上成長を目標とすること。
- 賃上げ要件
- 事業終了後3~5年のあいだに、従業員給与(あるいは事業場内最低賃金)の継続的引き上げを行う計画が必要です。
- 具体的には「年平均2.5%以上の賃金アップ」や「地域最低賃金+30円以上」など、一定の水準を達成しなければなりません。
- 事業終了後3~5年のあいだに、従業員給与(あるいは事業場内最低賃金)の継続的引き上げを行う計画が必要です。
- 行動計画の策定
- 「一般事業主行動計画」を策定し、公表していること。育児休業制度や働き方改革など、従業員の就業環境整備にも配慮した企業であることが求められます。
- 「一般事業主行動計画」を策定し、公表していること。育児休業制度や働き方改革など、従業員の就業環境整備にも配慮した企業であることが求められます。
- 金融機関の確認書(必要に応じて)
- 融資を受けて事業を進める場合、金融機関からの事業計画に関する確認が必要となる場合があります。
- 融資を受けて事業を進める場合、金融機関からの事業計画に関する確認が必要となる場合があります。
賃上げ特例について
本補助金には「賃上げ特例」があり、大幅な賃上げ(年平均6%以上)や事業場内最低賃金を年50円以上引き上げるといった高い目標を掲げて実行した場合、補助上限額がさらに引き上げられます。賃上げ要件を実現できなかった場合は、補助金の返還義務が生じるリスクもあるため、達成可能かつ前向きな計画を立てることが重要です。
2-2. 補助金額と補助率
- 補助上限額: 企業規模(従業員数)によって異なり、通常枠で最大7,000万円、賃上げ特例枠で最大9,000万円。
- 補助率: 1/2(2分の1)。
- 下限額: 750万円(補助対象経費が1,500万円以上必要)。
大規模投資にも対応できるよう、大きな上限額が設定されていますが、自己資金や金融機関融資による対応も含め、計画的な資金繰りが不可欠です。
例: 従業員20人以下の企業の場合、通常枠では2,500万円、特例枠では3,000万円。従業員101名以上の企業は通常枠7,000万円、特例枠9,000万円など、従業員数に応じた上限が定められています。
2-3. 補助対象費用
下記のように、新規事業に直結する多様な費用が対象となります。
- 機械装置・システム構築費
- 建物費(建物の新築・改修)
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 広告宣伝・販売促進費(新事業に関わる広告・展示会出展など)
ただし、既存事業に使用する費用や汎用的な消耗品、単なる修理費など、新事業と直接関係ないものは対象外となるので注意が必要です。また、補助事業実施期間内に支出した経費のみが補助対象となるため、計画のスケジュール管理が非常に大切です。
2-4. スケジュール
- 公募開始: 2025年4月22日(公募要領公開)
- 申請受付開始: 2025年6月頃(予定)
- 申請締切: 2025年7月10日 18:00(厳守)
- 採択結果公表: 2025年10月頃
- 補助事業実施期間: 交付決定後~14ヶ月程度
応募から採択結果公表まで約3ヶ月かかる見込みです。さらに、実績報告まで含めると補助金が実際に支払われるまで相応の時間がかかるため、資金繰りには余裕を持った計画が必要となります。
3. 新事業進出補助金のポイント
3-1. 新たな市場への挑戦を重視
本補助金の最大の特徴は、「既存事業とは異なる新市場・顧客層への進出」を明確に要件としている点です。単に同じ顧客層に新製品を売るだけではなく、全く新しい分野や需要に応える事業計画が求められます。例えば、
- 製造業がD2C(直接消費者向けEC)に挑戦
- BtoB企業がBtoCサービスに展開
- 地域限定事業が全国・海外市場へ販路拡大を図る
など、「これまでにない顧客」「これまでにない提供価値」を創造する事業ほど審査で評価されやすくなります。
3-2. 賃上げのインセンティブ
政府は「賃上げと企業の成長を両立させる」ことを強く打ち出しており、本補助金もその政策意図が色濃く反映されています。一定の賃上げ計画を設定することで初めて申請資格を得る仕組みであり、さらには大幅賃上げを計画する企業には補助上限額を上乗せする優遇措置も用意されています。ただし、未達に終わった場合は補助金返還を求められる可能性があるため、計画時に無理のない達成シナリオを描くことが大切です。
3-3. 事業再構築補助金との位置づけ
事業再構築補助金はコロナ禍対策として創設され、大型投資に活用された実績がありますが、新事業進出補助金はその後継という位置づけと言われます。大きな違いとして、売上高減少要件がないことや、賃上げがより明示的に要求されることなどが挙げられます。コロナで落ち込んだ売上を挽回するだけでなく、中長期的な飛躍を狙う計画であれば本補助金が有力な選択肢となるでしょう。
4. 他の補助金との関係(事業再構築・ものづくり補助金との併用可否)
4-1. 申請制限の注意点
公募要領では、他の補助金との重複申請や同一経費での併用を禁止しています。具体的には「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」など、すでに採択され実施中の事業と同一内容・同一経費で本補助金を申し込むことは認められていません。さらに、
本補助金の申請締切日を起点にして16か月以内に、
・中小企業新事業進出促進補助金(本補助金)
・中小企業等事業再構築促進補助金(事業再構築補助金)
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)
の交付候補者として採択された事業者(採択辞退は除く)、または交付決定を受け補助事業実施中の事業者は、本補助金に申請できません。
つまり、16か月以内に「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」に採択されていれば、新事業進出補助金には応募できない旨が公式に示されています。短期間で大型補助金を二重取得することを避け、公平性を保つための措置です。もし該当する場合は、申請不可となりますので注意してください。
4-2. すでに他補助金に採択済の方は要確認
- 採択を辞退した場合は制限の例外となり、実際に補助事業を開始していなければ申請できる可能性があります。
- 同時期にものづくり補助金のプロジェクトを進行中の場合は、本補助金に新たに申請することはできません。
- 申請時に過去や現在の補助金採択状況を自己申告する必要があり、虚偽が発覚した場合は大きなペナルティが科されます。
5. 申請準備リスト
新事業進出補助金は要件も多く、交付申請から実績報告まで長期にわたるプロセスを伴います。以下にB案で示されていた必要準備のリストをベースにしつつ、A案のように解説を加えています。計画的に進めましょう。
- 事業計画書の作成
- 新規事業の市場分析、競合調査、差別化戦略、収支見通し、スケジュールなどを盛り込みます。なぜその新事業が成長性を持ち、付加価値を生み出せるのかを示すために、客観的な根拠データを活用しましょう。賃上げ計画や付加価値向上計画も明確に。
- 新規事業の市場分析、競合調査、差別化戦略、収支見通し、スケジュールなどを盛り込みます。なぜその新事業が成長性を持ち、付加価値を生み出せるのかを示すために、客観的な根拠データを活用しましょう。賃上げ計画や付加価値向上計画も明確に。
- 要件の最終確認
- 自社が公募要領で定められた補助対象者や事業の要件に合致しているか、事前にチェックしてください。従業員数、資本金規模、過去の補助金不正受給歴などで該当しない場合は申請自体が無効となる可能性があります。
- 自社が公募要領で定められた補助対象者や事業の要件に合致しているか、事前にチェックしてください。従業員数、資本金規模、過去の補助金不正受給歴などで該当しない場合は申請自体が無効となる可能性があります。
- 決算書類・税務申告書の準備
- 直近2~3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)や法人事業概況説明書など、申請に必要な財務書類を揃えておきましょう。電子申請でPDF化が求められる場合も多いので、早めにデータを用意してください。
- 直近2~3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)や法人事業概況説明書など、申請に必要な財務書類を揃えておきましょう。電子申請でPDF化が求められる場合も多いので、早めにデータを用意してください。
- 一般事業主行動計画の公表
- 従業員101人以上の企業は義務ですが、それ未満でも本補助金申請にあたっては行動計画を策定・公表する必要がある場合があります。自社ホームページなどでの掲載手続きに時間がかかることもあるため、早期に取り組みましょう。
- 従業員101人以上の企業は義務ですが、それ未満でも本補助金申請にあたっては行動計画を策定・公表する必要がある場合があります。自社ホームページなどでの掲載手続きに時間がかかることもあるため、早期に取り組みましょう。
- 従業員名簿や就業規則の整備
- 補助事業終了後の賃上げ要件を検証する際に、常勤従業員数の把握や社内規則の整合性が求められます。最低賃金や給与テーブルの改定方針を明確にしておくことが重要です。
- 補助事業終了後の賃上げ要件を検証する際に、常勤従業員数の把握や社内規則の整合性が求められます。最低賃金や給与テーブルの改定方針を明確にしておくことが重要です。
- 金融機関への相談(必要に応じて)
- 補助対象経費の1/2は自己資金や融資でまかなう必要があるため、大きな投資を予定している場合は資金繰り計画を早めに固めましょう。融資を受ける際は金融機関に事業計画を説明し、所定の確認書を取得するケースもあります。
- 補助対象経費の1/2は自己資金や融資でまかなう必要があるため、大きな投資を予定している場合は資金繰り計画を早めに固めましょう。融資を受ける際は金融機関に事業計画を説明し、所定の確認書を取得するケースもあります。
- GビズIDプライムの取得
- 申請は電子申請(Jグランツ等)で行われる見込みです。GビズIDの取得には1~2週間程度かかるため、余裕を持って手続きを進めてください。
- 申請は電子申請(Jグランツ等)で行われる見込みです。GビズIDの取得には1~2週間程度かかるため、余裕を持って手続きを進めてください。
- スケジュール管理
- 締切当日の駆け込みはシステム障害や書類不備リスクが高く、注意が必要です。少なくとも数日前にはすべての準備を整え、申請を完了させるスケジュール感を持ちましょう。
- 締切当日の駆け込みはシステム障害や書類不備リスクが高く、注意が必要です。少なくとも数日前にはすべての準備を整え、申請を完了させるスケジュール感を持ちましょう。
- 加点要項の確認と証拠書類の準備
- 後述「6.2 加点要素」で解説するパートナーシップ構築宣言や健康経営優良法人認定など、加点を受けるための項目を満たしていれば、必ず証明書類を用意し忘れずに申告します。共同申請の場合、過半数の企業が該当しないと加点されない項目もあるので、連携体メンバー間での情報共有を徹底してください。
- 後述「6.2 加点要素」で解説するパートナーシップ構築宣言や健康経営優良法人認定など、加点を受けるための項目を満たしていれば、必ず証明書類を用意し忘れずに申告します。共同申請の場合、過半数の企業が該当しないと加点されない項目もあるので、連携体メンバー間での情報共有を徹底してください。
6. 採択されるために必要なこと
6-1. 審査のポイント
審査では主に以下の観点が重視されます。
- 新規性・市場性
- 既存事業との違いが明確か、新しい顧客層や市場を狙う根拠は十分か。
- 既存事業との違いが明確か、新しい顧客層や市場を狙う根拠は十分か。
- 事業実現可能性
- 事業計画は具体的か、資金や人材、技術の裏付けがあるか。
- 事業計画は具体的か、資金や人材、技術の裏付けがあるか。
- 付加価値・生産性の向上
- 付加価値額増や生産性アップの目標が現実的かつ高い水準を見込めるか。
- 付加価値額増や生産性アップの目標が現実的かつ高い水準を見込めるか。
- 賃上げ意欲
- 賃金引き上げを確実に実行し、従業員の待遇改善に寄与する計画か。
- 賃金引き上げを確実に実行し、従業員の待遇改善に寄与する計画か。
6-2. 加点要素
公募要領には、特定の条件を満たす企業に対して加点措置が用意されています。下記に該当する企業は、申請時に証明書類や登録完了の画面などを提出し、加点を受けられるようにしましょう。
- パートナーシップ構築宣言
- サプライチェーン全体で共存共栄を図るため、大企業や中小企業が取引適正化を宣言する制度です。宣言ポータルサイトに掲載・公表している企業は加点対象となります。
- 比較的短期間でオンライン登録できるため、公募締切に間に合いそうであれば早めに手続きしてください。
- サプライチェーン全体で共存共栄を図るため、大企業や中小企業が取引適正化を宣言する制度です。宣言ポータルサイトに掲載・公表している企業は加点対象となります。
- くるみん・プラチナくるみん認定
- 厚生労働省が認定する「子育てサポート企業」の認定制度。仕事と子育ての両立支援策や働きやすい職場環境を整備し、一定の基準を満たした企業が取得できます。すでに認定を受けている場合は証明書類を提出しましょう。認定取得には数ヶ月以上かかるため、間に合わない場合は将来的な検討を。
- 厚生労働省が認定する「子育てサポート企業」の認定制度。仕事と子育ての両立支援策や働きやすい職場環境を整備し、一定の基準を満たした企業が取得できます。すでに認定を受けている場合は証明書類を提出しましょう。認定取得には数ヶ月以上かかるため、間に合わない場合は将来的な検討を。
- えるぼし認定
- 女性活躍推進企業として厚生労働大臣の認定を受けている場合に対象となります。女性の活躍状況(採用・配置・登用など)の評価指標をクリアすると「えるぼし(★1~3段階)」または「プラチナえるぼし」が与えられます。認定までに時間を要するため、すでに取得済みの場合は必ず加点申請してください。
- 女性活躍推進企業として厚生労働大臣の認定を受けている場合に対象となります。女性の活躍状況(採用・配置・登用など)の評価指標をクリアすると「えるぼし(★1~3段階)」または「プラチナえるぼし」が与えられます。認定までに時間を要するため、すでに取得済みの場合は必ず加点申請してください。
- アトツギ甲子園出場
- 事業承継をテーマにしたビジネスプランコンテスト「アトツギ甲子園」に出場した実績がある企業は加点対象です。出場証明やパンフレット掲載などエビデンスを用意してください。後継者による新事業を積極的に支援する狙いがあります。
- 事業承継をテーマにしたビジネスプランコンテスト「アトツギ甲子園」に出場した実績がある企業は加点対象です。出場証明やパンフレット掲載などエビデンスを用意してください。後継者による新事業を積極的に支援する狙いがあります。
- 健康経営優良法人
- 経済産業省と日本健康会議が認定する「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に選定されている企業が対象。従業員の健康管理を重視し、生産性向上に寄与する企業姿勢として評価されます。認定を受けていれば証明書を添付してください。
- 経済産業省と日本健康会議が認定する「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に選定されている企業が対象。従業員の健康管理を重視し、生産性向上に寄与する企業姿勢として評価されます。認定を受けていれば証明書を添付してください。
- 技術情報管理認証(TICS)
- 企業の機密情報やノウハウを適切に管理し、漏えいを防ぐ体制が整備されていることを第三者認証する制度です。取得には社内の情報管理規程・セキュリティ対策を整えた上で認証機関の審査を受ける必要があります。
- 企業の機密情報やノウハウを適切に管理し、漏えいを防ぐ体制が整備されていることを第三者認証する制度です。取得には社内の情報管理規程・セキュリティ対策を整えた上で認証機関の審査を受ける必要があります。
- 成長加速化マッチングサービス
- 中小企業庁が運営するオンラインプラットフォーム(ミラサポplus等)で、自社の挑戦課題を登録し、金融機関・専門家などとマッチングを図るサービス。登録企業は加点対象となり、外部のサポートを受ける機会が増える利点もあります。
- 中小企業庁が運営するオンラインプラットフォーム(ミラサポplus等)で、自社の挑戦課題を登録し、金融機関・専門家などとマッチングを図るサービス。登録企業は加点対象となり、外部のサポートを受ける機会が増える利点もあります。
- 再生事業者
- 中小企業活性化協議会等、公的な支援機関による経営再生支援を受けており、事業再生計画が策定済みまたは支援中の企業が該当します。該当する場合は、その証明書などの提出が必要です。
- 中小企業活性化協議会等、公的な支援機関による経営再生支援を受けており、事業再生計画が策定済みまたは支援中の企業が該当します。該当する場合は、その証明書などの提出が必要です。
- 特定事業者(中堅企業 等)
- 中小企業の定義から外れるものの、大企業とは言えない規模の事業者が本補助金の対象となる場合、該当すれば加点対象です。自社の規模区分を確認して、所定の証明書類を準備しましょう。
- 中小企業の定義から外れるものの、大企業とは言えない規模の事業者が本補助金の対象となる場合、該当すれば加点対象です。自社の規模区分を確認して、所定の証明書類を準備しましょう。
いずれの加点項目も、企業の経営強化や働きやすい環境づくりに資する取組です。すでにクリアしているものは申請書で必ず自己申告し、証拠書類を添付して加点を逃さないようにしましょう。これらは審査のプラス評価となりますが、加点がなくても採択される可能性はあります。最も大事なのは事業計画の質である点を念頭に、同時に加点項目をうまく活用してください。
6-3. 注意点(減点・失格のリスク)
- 書類不備・虚偽申請
提出書類が揃っていなかったり、虚偽の数字を記載したりすると即不採択となる場合があります。 - 過去の補助金における賃上げ未達
以前にものづくり補助金などで「賃上げ計画を掲げたのに未達」だった場合、減点対象となるケースがあります。 - 申請制限の見落とし
16か月以内に事業再構築補助金・ものづくり補助金に採択されていると申請不可です。自己申告を怠ると重大なペナルティがあります。
7. 採択後の流れ
採択された後は、事務局からの交付決定通知を受け取り、補助事業を実際に開始します。交付決定後に行った支出が補助対象となり、事業完了後に実績報告を提出し、審査を経て補助金額が確定します。また、賃上げや付加価値向上が計画どおり実行されているか、事業完了後の報告(数年間のフォローアップ報告)が求められる点も留意しましょう。
もし、賃上げ要件を満たせなかったり、計画未達が大きい場合は、補助金の一部または全額返還を求められる可能性があります。採択後も安心せず、計画的かつ着実に事業を進めることが重要です。
8. まとめ
「新事業進出補助金」は、新市場への進出を目指す中小企業にとって非常に魅力的な制度です。最大9,000万円(特例)という高額支援により、大胆な設備投資や販路開拓が可能になります。一方で、賃上げ要件や新規性の高さ、事業実現性など厳しい条件を満たさなければ採択は困難であり、申請準備には入念な計画が欠かせません。
今から始めるべきこと
- 事業計画書の作成開始とブラッシュアップ
- ターゲット市場の定義や競合分析、収支計画を具体的に示し、賃上げ計画との整合性も検証する。
- ターゲット市場の定義や競合分析、収支計画を具体的に示し、賃上げ計画との整合性も検証する。
- 過去の補助金採択歴を確認
- 16か月以内に事業再構築補助金等で採択されていないか要チェック。
- 16か月以内に事業再構築補助金等で採択されていないか要チェック。
- 必要書類の収集・電子申請システムの登録
- GビズIDプライム取得や書類電子化など、締切直前に慌てないための準備をすすめる。
- GビズIDプライム取得や書類電子化など、締切直前に慌てないための準備をすすめる。
- 加点要件の再チェック
- パートナーシップ構築宣言や健康経営優良法人など、短期で登録可能なものがあれば早めに取り組む。
- パートナーシップ構築宣言や健康経営優良法人など、短期で登録可能なものがあれば早めに取り組む。
- 専門家への相談
- 資金計画や事業計画作成に不安があれば、商工会議所や中小企業診断士、金融機関などに相談する。
- 資金計画や事業計画作成に不安があれば、商工会議所や中小企業診断士、金融機関などに相談する。
公募要領をよく読み、公式サイトで最新情報を入手しながら、締切(2025年7月10日18:00)に向けて効率的に準備を進めましょう。新たなビジネスモデルを築き、企業の成長と地域経済の活性化につなげる絶好のチャンスです。
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https://docs.google.com/forms/d/19xAwbbNBhaRKoVukYzmS-uEsiIoKs50QUVN8dLkQZ44/edit
参考情報リスト
- 新事業進出補助金 公募要領(2025年4月22日公表)
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/ - 中小企業庁「事業再構築補助金」との比較・Q&A資料
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/ - 中小企業新事業進出促進補助金 公式サイト
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/ - 商工会議所・中小企業診断協会 事業再構築と新市場進出に関する解説書
https://www.j-smeca.jp/ - 中小企業庁「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト
https://www.biz-solution.net/pcs/ - 厚生労働省「くるみん」「えるぼし」認定制度
https://www.mhlw.go.jp/ - 経済産業省「健康経営優良法人認定」制度
https://www.meti.go.jp/policy/health_care/ - 中小企業庁「成長加速マッチングサービス」
https://mirasapo-plus.go.jp/ - 中小企業活性化協議会・事業再生支援に関する資料
https://chusho.meti.go.jp/
(上記は執筆時点の参考情報です。最新の公募要領やFAQを必ずご確認のうえ、最新動向を踏まえてご準備ください。)