海外進出10ステップ:ステップ5現地パートナーの選定 ⑨「現地政府とのコネクションを持つパートナーの見つけ方と付き合い方」 海外進出10ステップ:ステップ5現地パートナーの選定 ⑨「現地政府とのコネクションを持つパートナーの見つけ方と付き合い方」

海外進出10ステップ:ステップ5現地パートナーの選定 ⑨「現地政府とのコネクションを持つパートナーの見つけ方と付き合い方」

海外進出10ステップ:ステップ5現地パートナーの選定 ⑨「現地政府とのコネクションを持つパートナーの見つけ方と付き合い方」

1. はじめに

海外進出を考える際、多くの企業がパートナー選定に苦慮します。特に新興国や政治的に特徴のある地域では、現地政府や行政機関との交渉や許認可手続きがビジネスの成否を大きく左右するケースが少なくありません。そこで「現地政府との強固なコネクションを持つパートナー」を探すという選択肢が浮上するわけですが、これには大きなメリットと同時にリスクも潜んでいます。確かに、政府系プロジェクトや補助金、規制緩和などを有利に運べる可能性は高まるかもしれませんが、一方でコンプライアンスや贈賄リスク、政権交代リスクなどに巻き込まれるリスクも増大するという難しさがあるのです。

今回のステップ5(現地パートナーの選定)第9回目では、この「現地政府とのコネクションを持つパートナー」に焦点を当て、どのようなメリット・デメリットが考えられるのか、そして具体的にどう探し、どのように付き合っていくかを考察します。特に、中小企業が海外進出を試みる際、資金力や社内リソースに限りがあるため、現地での手続きが複雑だったり許認可取得に時間がかかると大きな負担となるでしょう。そうしたとき、“信頼できるローカルパートナーが行政機関とのルートを持っている”という要素は大きなアドバンテージになり得ます。しかし、逆にパートナーが腐敗や癒着といった不透明な関係を政府と築いているとすれば、後から思わぬ不祥事やトラブルに巻き込まれ、企業の評判が大きく損なわれるリスクも否定できません。

本稿では、まずなぜ“政府コネクション”のあるパートナーが注目されるのか、その背景とメリット・デメリットを整理します。次に、具体的にそのようなパートナーをどうやって見つけるか、その調査や見極め方を解説し、その後は実際に契約や運用段階で気をつけるべきポイントやコンプライアンス上のリスクへの対策を考えます。最後に次回、ステップ5現地パートナーの選定⑩として「パートナーなし進出 vs パートナーあり進出:メリット・デメリット比較」を予告する形でまとめます。


2. 現地政府とのコネクションを持つパートナーのメリットとリスク

海外市場への参入を目指す企業、特に政治や行政の影響が強い国でビジネスを展開する企業にとって、現地政府や各種許認可機関との関係力を有するパートナーは大きな武器になり得ます。ここでは、その主なメリットと、それに伴うリスクを考えてみます。

まずメリットとしては、事業開始に必要な許認可やライセンスをスムーズに取得しやすいことが挙げられます。特に新興国や途上国では法律や規制が頻繁に変わり、複雑な手続きを踏まなければならない場合が多いため、地元の実力者や政界にパイプを持つ人物が仲介すれば手間や時間を大幅に削減できる場合があるわけです。さらに、政府が主導する大型プロジェクトに参入したり、補助金やインセンティブ制度を活用しやすくなる可能性も否定できません。例えばインフラ開発や公共事業、地域振興策などに絡むビジネスでは、政府コネクションがあるパートナーが競合他社よりも有利な立場を得やすいと考えられます。

ただし、同時に大きなリスクも存在します。第一に、こうしたパートナーが必ずしも“合法でクリーンな関係”を政府と築いているとは限らない点です。一部の国や地域では贈賄や癒着が慣習化している場合があり、それに巻き込まれると日本企業としてコンプライアンス違反や汚職疑惑が浮上し、国際的に信用を失う危険性があります。第二に、政府コネクションは政権や首長の交代であっという間に陳腐化したり、権力争いに巻き込まれて一転して冷遇されるリスクもあるでしょう。第三に、現地ローカルでの評判が必ずしも良いとは限らず、“政府寄りの企業”として現地住民や市民団体の反発を買う事例もあります。こうしたリスクを踏まえ、協業前の調査(デューデリジェンス)や契約交渉での透明化が不可欠だと言えます。


3. どのようにパートナーを探すか:具体的な方法

現地政府とのコネクションを持つパートナーを見つけるには、一般的な代理店や合弁相手を探すよりも手がかりやルートを確保しにくい面があるでしょう。ここではいくつかの方法や注意点を述べます。

まず、よく利用されるルートは海外の商工会議所やJETROなどの公的機関です。彼らが開催するセミナーや商談会には、地元の政治家や政府関係者と繋がりのある企業・団体が参加している場合があり、そうした場で接点を得ることが考えられます。さらに、現地の大使館や領事館が民間経済活動をサポートしているケースもあるため、そこを通じて信頼できる仲介業者やコンサルタントを紹介してもらう方法も有力です。

一方で、中小企業が知人や友人のつてを辿る形で“政治に顔が利く”という人物を紹介してもらうケースも見られます。人脈は大きな武器となりますが、こうした私的なルートだけに頼ると、相手の実績や背景を十分に調査せずに契約を結んでしまい、後から汚職疑惑や不正ビジネスが発覚するリスクがあります。ここでは前回の記事でも取り上げたデューデリジェンスをしっかり行い、本当にクリーンな形で政府との関係を築いているか、公的な事業実績や透明な会計処理がなされているかなどを検証する必要があります。

また、大手のコンサルティングファームやローカルの法律事務所を活用して、彼らが持つネットワークから“政府にコネクションを持つがクリーンな活動を行っている企業・個人”を紹介してもらうのも考えられます。ただし、これも仲介手数料が高額になる可能性や、必ずしも紹介先が自社の業種に適合したコネクションを持っているわけではないリスクなどを念頭に置くべきです。


4. 付き合い方:メリットを活かし、リスクを回避するコツ

現地政府とのコネクションを持つパートナーと組む場合、せっかくの政治力や行政へのパイプを活かしながらも、不透明な関係に巻き込まれずに済むためには、いくつかのポイントが挙げられます。

まず、パートナーに頼りきらず、自社としても基本的な行政手続きや規制を理解しておくことが大切です。“何をパートナーが担当し、何を自社が自前でやるか”を明確に区分し、法的に問題のある手法が使われないよう目を光らせるわけです。過剰な賄賂や贈り物など、コンプライアンス違反に当たる行為をパートナーがやっていないかを定期的にチェックする仕組みを契約や社内ルールで設けることも考えられます。

次に、契約書においても、“不正行為が明らかになった場合の解約条項”や、“透明性の高い報告義務”を盛り込む必要があります。政治家や高官との面会スケジュールや金銭の流れを文書で共有し、経費精算も監査可能な状態にしておくことで、“実は裏で賄賂を渡していた”といった事態を未然に防げるかもしれません。ここで企業のコンプライアンス責任者や外部監査を活用すれば、相手が“政府コネクション”をセールスポイントにしていても、不正行為を強要できない仕組みになるでしょう。

さらに、政治的リスクへの対策として、パートナーが与党や特定の政権とだけ近しい関係にある場合、政権交代で一気に冷遇される懸念がある点にも注意が必要です。そこで、あえて複数のパートナーと関係を構築しリスク分散する、もしくは現地で民間企業や業界団体との連携も合わせて行い、過度に一つの政治ルートに依存しない形を探る方法が考えられます。政治家個人や一族企業の影響力に頼りすぎると、その個人が失脚した際に大きな痛手を負うリスクが高いためです。


5. 「第二領域経営®」を活用したリスクマネジメント

現地政府とのコネクションを持つパートナーとの協業は、“すぐに売上増や市場参入が可能になる”という魅力がある一方、前述したとおりコンプライアンスリスクや政情リスクが大きいです。ここで One Step Beyond株式会社が提唱し、商標を所有する 「第二領域経営®」 を活用すれば、そのメリットを最大化し、リスクを最小化するための枠組みを作りやすくなります。

まず、“第二領域会議”を定期的に設定し、ここでパートナーとの関係をモニタリングし、リスクシナリオやコンプライアンス状況を報告させる流れが有効です。経営トップと幹部が忙しい日常業務(第一領域)からあえて離れ、政治リスクや法的リスク、パートナーの透明性などを議題に集中することで、問題が起きる前に対応策を講じられます。また、権限委譲を進めることで、トップが緊急クレーム対応に引っ張られずに、パートナーとの調整や追加交渉に時間を割ける余地が生まれます。これにより、“政府コネクション”パートナーの活動を監視し、不透明な動きや怪しい金銭の流れがないかを早期に察知できるでしょう。

さらに、PDCAサイクルを回す観点では、定期的に“パートナーシップの在り方”を見直し、“過剰依存”になっていないか、“政局の変化”に備える策を講じているかを確認できます。いざ政治体制が変化してパートナーが力を失った場合にも、“第二領域会議”で事前に代替策や追加パートナー候補をリストアップするなど、リスクヘッジを計画的に行うわけです。こうした仕組みがあれば、企業が“短期的メリット”だけを追いかけて危険な道を突き進む事態を回避しやすくなります。


6. 次回予告:ステップ5現地パートナーの選定 ⑩「パートナーなし進出 vs パートナーあり進出:メリット・デメリット比較」

現地政府とのコネクションを持つパートナーは、海外進出において大きなアドバンテージをもたらす可能性がある一方、リスク管理の難易度も高くなりやすい存在です。次回のステップ5現地パートナーの選定⑩「パートナーなし進出 vs パートナーあり進出:メリット・デメリット比較」では、そもそもパートナーを介さずに自社単独で海外進出する方法と、ローカルパートナーを活用する方法を総合的に比較し、それぞれがもたらす恩恵やリスクを整理します。海外拠点を自力で立ち上げるか、あえて提携・合弁を結ぶか、あるいは代理店経由で市場攻略を図るかといった選択肢を検討する上で、今回の「政府コネクション」要素も含めて多角的に判断する必要があるでしょう。


7. まとめ

海外進出時に、現地政府との深いコネクションを持つパートナーと組むことは、許認可の取得や官公庁案件への参画などで大きなメリットが得られる反面、コンプライアンスリスクや政権交代リスクに巻き込まれるなどの大きな危険も孕みます。特に中小企業にとって、こうした政治力のあるパートナーの助けは魅力的に映るかもしれませんが、その関係性がクリーンなものかをしっかり見極め、契約やリスク管理の仕組みを整えることが不可欠です。曖昧な状態で結びついてしまうと、後から汚職疑惑や不正行為が発覚し、日本企業の評判を下げる結果となるかもしれません。

その際のキーとなるのが、One Step Beyond株式会社が提唱し、商標を所有する「第二領域経営®」によるマネジメントの枠組みです。忙しい日常業務(第一領域)に流されないよう、経営トップと幹部が定期的に“第二領域会議”を開催し、パートナーの活動状況や契約条項の遵守、コンプライアンスの問題、政治リスクの変化などを報告し合い、必要に応じて追加対策や交渉を行います。また、第一領域のオペレーションを現場に権限委譲することで、トップがパートナーとのミーティングや検証に十分な時間を注げるようになるわけです。

最終的には、政府コネクションを持つパートナーを活かすことで海外展開を加速しつつ、“緊急ではないが重要”なリスク管理を怠らずに行う形が理想と言えます。次回のステップ5現地パートナーの選定⑩「パートナーなし進出 vs パートナーあり進出:メリット・デメリット比較」では、さらに広い視点でパートナーシップの有無を含めた進出形態を比較検討する予定です。海外特有の政治要素や文化ギャップにも対応し得る体制を構築することが、企業が安定的かつ効率的にグローバル市場へ羽ばたく鍵となるでしょう。

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