日本進出企業を悩ませる「オフィスの壁」と、その構造を変えた一社 日本進出企業を悩ませる「オフィスの壁」と、その構造を変えた一社

日本進出企業を悩ませる「オフィスの壁」と、その構造を変えた一社

— 天翔ビルディング株式会社との連携にあたって

「進出はしたい。しかし、最初の半年で資金が消える」

日本市場への参入を検討する海外の経営者と話すと、決まって質問されることがあります。「最初にどれくらいの資金が必要ですか」。

私たちが本音でお伝えするのは、純粋な事業活動費よりも、オフィスの契約に伴う初期費用と、退去時に備えなければならない原状回復費が、想像以上に経営の自由度を奪うという事実です。日本市場の魅力は十分に理解していても、この「入口と出口の二重の壁」を前に、進出計画を縮小したり、見送ったりする企業は少なくありません。

日本の商慣行という構造的問題

日本の伝統的なオフィス賃貸借契約では、契約時に賃料の6か月から12か月分に相当する敷金が要求されます。仮に月額30万円のオフィスを借りた場合、敷金だけで180万円から360万円が、契約と同時に拘束されます。

これに加えて、内装工事費、家具・什器の購入費、ネットワーク回線の引き込み工事費が必要になります。さらに退去時には、入居時のスケルトン状態(建物の躯体が剥き出しの状態)まで戻す原状回復義務が課せられ、その費用は坪あたり5万円から10万円が相場です。

つまり、日本でビジネスを始めるための「入口の費用」と、撤退・移転を決断する際の「出口の費用」が、両方とも高い壁として企業の前に立ちはだかっているのです。これは、市場テストを目的とした駐在事務所や、急成長フェーズで人員規模が読みにくい新興企業にとって、極めて不利な構造と言わざるを得ません。

コワーキングスペースは答えだったのか

この硬直的な市場に対する一つの解として、2010年代後半、外資系コワーキングスペース事業者が日本市場に進出しました。「柔軟な契約」「初期費用の抑制」を武器に、急速に支持を集めたのは記憶に新しいところです。

しかし、その多くは「転貸モデル」を採用していました。すなわち、自社で不動産を所有するのではなく、ビルオーナーから大規模な床面積を長期で借り上げ、内装を施し、小口の区画に分けて短期で再貸出するという構造です。

このモデルは事業拡大のスピード面では強力でしたが、構造的な脆弱性を抱えていました。事業者は毎月、ビルオーナーへの巨額な賃料を支払い続けなければならず、好景気時の賃料高騰や、感染症パンデミックによる稼働率低下に対して極めて脆弱だったのです。実際、コロナ禍では複数の有力事業者が経営再建や撤退を余儀なくされ、入居していたテナントが慌ただしく次の拠点を探す事態が相次ぎました。

借りるテナント側から見れば、「いつ提供事業者が撤退するか分からない不安」と、「事業者の高い固定費が転嫁された割高な利用料」という、二つの問題が依然として残っていたわけです。

天翔ビルディングが提示した第三の道

ここでご紹介したいのが、天翔ビルディング株式会社の運営する「TENSHO OFFICE」です。同社は2004年に設立され、現在、東京に31拠点、大阪に4拠点、合計3,561室のレンタルオフィスを運営しています。

同社が他社と決定的に異なるのは、その事業構造です。同社が出店している拠点の多くは、1棟レンタルオフィスとして運営しており、同社にて土地の取得及び設計を企画した案件となっています。建物建築時の設計から企画することにより、効率の良い部屋づくりが実現でき、各テナントに対して、低価格でのオフィス提供が可能となっております。

さらに同社は、内装工事を専門に担う「天翔 匠 株式会社」と、ビル管理・清掃を専門に担う「天翔ファシリティーズ株式会社」をグループ内に抱えているため、通常、外部業者を介すと20%から30%の中間利幅が発生しますが、それを構造的に排除しているのです。

不動産開発(土地取得・建築)、内装施工、施設管理という、通常は分業化される三つの機能を、一つのグループの中で垂直に統合している。これが、同社の価格優位性の源泉です。

数字で見るインパクト

天翔オフィスの料金体系を、伝統的な賃貸オフィスと比較すると、その違いは一目瞭然です。

  • 初期費用: 賃料6〜12か月分の敷金 → 一律55,000円から110,000円
  • 水道光熱費: 実費請求 → 共益費に内包(0円)
  • 更新料: 2年ごとに賃料1〜2か月分 → 0円
  • 退去時の原状回復費: 坪あたり5〜10万円 → 基本0円[U1.1]

特に最後の「退去費用の低さ」は、成長企業にとって決定的な意味を持ちます。事業が拡大して現在の部屋が手狭になったとき、退去費を気にせず、同じ天翔オフィス内のより大きな部屋へ、あるいは別の地区の拠点へと即座に移転できる。事業の機動性を確保するうえで、これは大きな安心材料です。

設計の合理性 — 180センチという数字が語ること

同社の合理性を象徴する、興味深い設計判断があります。

天翔オフィスには完全個室タイプに加えて、高さ180センチから194センチの仕切り壁で区切られた「ブースタイプ」が用意されています。一見すると単なる安価な座席に見えるかもしれませんが、その背景には極めて緻密な計算があります。

日本の消防法では、床から天井まで完全に密閉した個室を多数構築する場合、各部屋にスプリンクラー、火災報知器、独立した空調設備の設置が義務付けられます。これには莫大な設備投資と長い工期が必要です。

しかし、天井と仕切り壁の上部に一定の空間を空けることで、法律上はフロア全体が「一つの空間」として扱われ、過大な設備投資を回避できます。同社は、大人が立っても視線が交差せず、十分な遮音性と心理的なプライバシーが保てるギリギリの高さを設定することで、建築コストを劇的に削減しているのです。

このような細部の設計判断にこそ、同社の経営哲学が表れています。華美な装飾に資金を投じるのではなく、テナントが本当に必要とする「機能的で清潔な空間」と「低価格な利用料」に経営資源を集中させる。この姿勢が、創業からの一貫した競争力の源泉となっています。

なぜ私たちが天翔オフィスを推奨するのか

One Step Beyond株式会社は、日本企業の海外進出と、海外企業の日本進出を双方向で支援するクロスボーダー支援を専門としています。スリランカ、インド、東南アジア、欧州から日本市場への参入を目指す経営者と日々向き合うなかで、「日本での拠点をどう確保するか」という論点は、必ず最初に直面する難問でした。

法人登記には実体のある物理拠点が必要です。経営・管理ビザ(Business Manager Visa)の取得には、明確なオフィス所在地が要求されます。駐在事務所として活動する場合にも、信用力を担保する所在地が不可欠です。そのうえで、初年度の事業計画が確定していない段階で、数百万円の敷金を拘束するのは、決して合理的な資金配分とは言えません。

天翔オフィスは、この問題に対する説得力のある解を提供しています。港区に10拠点を構える同社の所在地は、対外的な信用力を重視する海外企業の日本拠点として十分な格を備えています。すべての拠点が最寄り駅から徒歩5分以内という立地条件も、海外からの来客対応において大きな価値を持ちます。

2026年4月以降、大阪でも淀屋橋、堺筋本町を含む4拠点を展開しており、関西圏での補助拠点や、東京本社と関西支店の二拠点体制を整備したい海外企業のニーズにも対応可能となりました。

連携のお知らせ

このたびOne Step Beyond株式会社は、天翔ビルディング株式会社との相互紹介に関する連携を開始いたしました。

日本進出を検討されている海外企業の経営者の方、また、海外現地法人を運営し日本側拠点の整備を検討されている方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。お客様の事業フェーズ、用途、ご予算、そして将来の拡張可能性まで踏まえて、最適な拠点プランをご案内いたします。

天翔ビルディング株式会社の公式情報は、下記の同社サイトをご参照ください。

天翔オフィス公式サイト: https://www.tensho-office.com/

One Step Beyond株式会社
代表取締役 水谷 弘隆(中小企業診断士)

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